2022/02/18 Fri
任国 生活
任地の交通事情②
Habari gani?みなさんこんにちは。
ケニアで環境教育隊員として活動している加賀瀬です。
前回のブログでは、ケニアの道路事情や、街中の交通手段などについて書きました。
今回は、マタツとバスの話題から始めたいと思います。
「マタツ(Matatu)」とは、ミニバスのことです。
ケニアのマタツには、主に日本製のバンが使われています。もともと10人乗りのバンが、15人以上乗れるように改造されています。
バスと比べて狭い道にも入り込めるマタツ。都市部から地方まで、人々の足として走り回っています。ぎゅうぎゅうに人を詰め込んで。
マタツには、都市内の各地区を結ぶ近距離交通としての役割と、都市間を結ぶ長距離交通としての役割が両方あります。
一方のバスは、主に長距離を結ぶ交通手段です。
JICA海外協力隊の要請書を見たことがある人なら、「任地まで首都からバスで〇〇時間」なんて表記を見た覚えのある人もいるはず。
途上国でも、人々は様々な理由で移動します。安価で長距離まで移動できるバスは、彼らにとって重要な足です。
ティカと首都ナイロビの間には、マタツだけでなく、大型・中型のバスも多く走っています。
ティカ・ナイロビ間は直線距離にして約50km。車で1時間程度です。長距離の足であるバスの出る幕はないように思われます。
なぜそんな近距離で、大型バスがたくさん走っているのでしょうか?
それは、ティカからナイロビに働きに行く人が多くいるからなのだそうです。
ティカは比較的大きな都市とはいえ、ナイロビと比べると物価も家賃もずっと安いのです。そのためティカに住んで、ナイロビに通勤する人が多いというわけです。
ティカの属するキアンブ郡は、日本の埼玉県のようだと言った人がいました。うまいことを言うものだと思います。
多くの人がキアンブ郡に住まいをかまえ、ナイロビへと出勤しているというわけです。
上の写真は、ティカの「メインステージ(Main Stage)」です。ステージとは、バスやマタツの発着場です。鉄道でいうと、駅にあたるものですね。
ティカの街中には何箇所もステージが存在しますが、その中でも最大のものがこのメインステージというわけです。
メインステージは、街中にある広場のような場所です。マタツがたくさん出入りするのはもちろん、大型・中型のバスの発着場所も充実しています。
メインステージにはたくさんの商店や露店が並び、バスやマタツの客引きが呼び込みをする、街中でも最もにぎやかな場所の一つです。
マタツには、決まった時刻表がありません。乗員がいっぱいになったら出発します。
できるだけ早く、多くの人が乗った方が運行者たちの稼ぎが増えるので、街中ではマタツの客引きが大声で呼び込みをしています。
時にはマタツの客引き同士が、乗客の取り合いで喧嘩になっていたりします。
それ以外のステージは、街中の主要な道路沿いや、ガソリンスタンドやスーパーマーケットなどの人通りの多い場所にあることが多いです。
通勤時間帯の朝晩は混雑し、時間によってはマタツが集中して道路がふさがってしまう場所もあるほどです。
日本の高速バス乗り場のように、スーパーハイウェイや幹線道路沿いで乗降りするステージもあります。
ケニアのガソリンスタンドは、日本では考えられないほどに公共スペースとして使われています。
人や車は当たり前のようにガソリンスタンド内を通過していきますし、マタツやバスの発着場所になっていたりします。
ガソリンスタンドに、カフェなどの飲食店が併設されていることも多いですね。
ステージの周りには、野菜や果物、衣料品や靴、食品や飲み物まで、様々なものを売る人々がいます。特に帰宅ラッシュの夕方の時間は、物を売る人たちが増えます。
人々はナイロビでの仕事を終えて、ティカに帰ってきます。そして、ステージ近くであれこれと買い物をして、帰宅するのだそうです。
最後に、ケニアの鉄道についても少し触れておきたいと思います。
ケニアの鉄道の始まりは19世紀末。当時の植民地宗主国であったイギリスによって建設されました。
インド洋の港町モンバサから、ヴィクトリア湖岸の街キスムを経て、最終的に隣国ウガンダまで延線されたそれは、歴史的には「ウガンダ鉄道」と呼ばれます。
首都のナイロビはもともと、ウガンダ鉄道の建設拠点から発展した都市なのだそうです。
鉄道に縁の深い街なのですね。市内には「鉄道博物館」があります。
2010年代には中国からの支援によって、モンバサ・ナイロビ標準軌鉄道(Standard Gauge Railway=SGR)という新たな鉄道が建設されています。
これは、首都ナイロビと第二の都市モンバサを結ぶ、約500kmの鉄道です。将来的にさらなる延伸が計画されているのだとか。
実は、ここティカにも鉄道が通っています。
←このとおり、駅もあるんです。
この路線はナイロビから出発して北上し、ここキアンブ郡をはじめいくつかの郡を縦断して、最終的にライキピア郡(Laikipia County)にあるケニア山の麓の街ナニュキ(Nanyuki)に至ります。
これまで一度もティカに電車が走っているところを見たことがないのですが、同僚に聞くと「電車は走っている」と言います。
鉄道会社のホームページを確認したところ、金曜日にナイロビからナニュキへ行き、日曜日に帰ってくるのだそうです。
なんと週に一往復の列車でした。片道7時間の道のりだそうです。
一度くらいは乗ってみたいものですが、その機会はあるでしょうか...?
さて、ケニアの交通事情については以上です。
それではみなさん、Kwa heri!
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