2022/03/14 Mon
人 任国
モヨ・チルドレン・センターに訪問しました!
Jambo!みなさんこんにちは。
ケニアで環境教育隊員として活動している加賀瀬です。
2月13日に、私の任地ティカにある「モヨ・チルドレン・センター」を訪問してきました。
モヨ・チルドレン・センターは、松下照美さんによって1999年に創設され、20年以上にわたってここティカで活動を続けているNGOです。
親を亡くしたり、虐待やネグレクトを受けた子どもや、ストリートチルドレンらを保護する児童養護施設「子どもたちの家(ニューホーム)」の運営をはじめ、小学校での無償給食提供や、家庭の経済的事情で進学できない子どもへの学費援助、薬物依存の子どもたちに対してリハビリテーションを行う施設の運営などの活動に取り組まれています。
こうした活動は、主に日本からの寄付金によって行われているとのことでした。
以前から訪問したいと思っていたのですが、ケニア国内のCovid-19の大流行があった影響でなかなか訪問できずにいました。
ようやく感染拡大が落ち着いたということで、今回こうして訪問することがかないました!
今回の見学では、児童養護施設「ニューホーム」とドラッグリハビリテーションセンターの2ヶ所を見学させていただきました。
せっかくの休みの日曜日にもかかわらず、スタッフの皆さんや子どもたちにとても歓迎してもらい、ありがたかったです。
これらの施設は、ケニア人スタッフの皆さんによって運営されています。
まずはニューホームの見学から。
モヨ・チルドレン・センターの概要の説明をしてもらった後、スタッフや子どもたちの自己紹介をしてもらいます。
エンジニアやファッションデザイナーになりたい!と夢を語る子どもたちに混じって、大統領になりたい!という子もいて、みんな個性豊かです。
私たち隊員の自己紹介では、みんなスワヒリ語での自己紹介に挑戦しました。
その後は、施設内の寝室や炊事場、洗濯場など、子どもたちの生活の場を案内してもらいました。
ニューホームから学校に通っている子どもたちもいれば、普段は寄宿制の学校に通っていて、長期休みの時だけ帰ってくる子どもたちもいるそうです。
こちらの施設は子どもの人数が多く、色々な年代の子たちがいるので、とても賑やかな雰囲気でしたね。
続いて、ドラッグリハビリテーションセンターの見学です。
こちらは薬物に手を出してしまい、依存症になってしまった子どもたちを保護している施設です。
有機農業をはじめとする自給自足の生活を通じて、薬物依存から抜け出し、子どもたちの社会復帰を目指しているそうです。
ケニアの子どもたちの薬物依存というと、シンナーや「グルー」と呼ばれる接着剤によるものです。
接着剤をペットボトルに入れて、含まれている揮発性の溶剤を吸うのだそうです。
食べ物よりも安価に手に入るため、ストリートチルドレンの子どもたちが空腹を紛らわすために依存しやすいようです。
私自身もティカの街中で、ペットボトルをくわえた子どもや少年たちを何度も見かけたことがあります。
こちらの施設はその特性上、より困難な環境で育ってきた子どもたちが多いです。
6~7歳、つまりまだ小学校1~2年生の子どもまでもがこの施設にいると聞いて、心が痛みました。
ニューホームの子どもたちと比べると、シャイで口数の少ない子が多い印象でしたが、サッカーが始まるとみんな夢中になっていたのが印象的でした。
平らなグラウンドはないので、ところどころ石が飛び出た斜面でのサッカーです。
これまでは布袋で作った手製のボールを使っていたようですが、一緒に訪問した方が今回、新品のサッカーボールを差し入れてくださいました。
みんな靴が脱げて裸足になっても、懸命にボールを追いかけていました。
以上のように貴重な休日の時間をいただいて、モヨ・チルドレン・センターへの見学をさせてもらいました。
モヨ・チルドレン・センターでは、勉強や農業などの活動、食事の準備や掃除、洗濯といった家事まで、子どもたちが生活をともにしながら行っています。
施設内には、野菜やトウモロコシ、キャッサバなどを育てている畑や、マンゴーやアボカドなどの木があり、ニワトリなどの動物も飼育されています。
有機農業を行っているリハビリテーションセンターには、ヤギやウサギが飼育されていたり、魚の養殖池も作ろうとしたりしていました。
また、施設の屋内も屋外も、きれいに掃除され、整理整頓されていたのが印象的でした。
家庭で十分な養護を受けることができなかった子どもたちも、こうやって社会に馴染んでいくための経験やトレーニングを積んでいくのですね。
とは言え、このセンターに入ればみんな順調に社会復帰できる、というわけにもいかないようです。
センターに入ってからも、問題行動を起こしてしまう子どももいるのだそうです。
それでも時間をかけて、ここが安心できる場所であることを理解してもらいながら、少しずつ社会に馴染んでいくためのトレーニングを積んでいくようです。
リハビリテーションセンターに暮らしながら職業訓練校に通い、社会復帰まであと一歩という少年の姿を見て、こういう地道で困難な活動の重要さと尊さを感じました。
約1年住んでいる身として、ケニアでは福祉というものが十分に機能していないと感じています。
国はだんだんと豊かになりつつありますが、それでもなお、こうしたNGOがなければ取り残されてしまう子どもたちがいるという現実があります。
今回、隊員からは見学のお礼として、ささやかながら寄付と、お菓子や飲み物、縄跳びなどの遊具の差し入れをさせてもらいました。
折しも私たちの訪問から数日後に、日本で病気療養中だった創設者の松下さんが亡くなられました。
ここケニアのティカという地で、20年以上も子どもたちのために活動を続けて来られた松下さんに深い敬意を。
ケニアで直接お会いすることはかなわず、非常に残念です。ご冥福をお祈りいたします。
体制は変わるものの、モヨ・チルドレン・センターは、今後も引き続きティカの子どもたちの支援を続けていくそうです。
私の残り約1年の活動期間の中で、何かしら支援したり、協働して活動ができないか模索してみたいと思っています。
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