JICA海外協力隊の世界日記

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サッカー大会

bondia!di'ak ka lae?

先日、COPA FUTEBOL JUVENIL SUB-15 2024というサッカー大会に出場しました。

この大会は東ティモール全14県それぞれの15歳以下の選抜チームが出場する大会です。
バウカウ県選抜チームは、私の配属先のチームに他チームの代表選手及び代表指導者の数名が合流して結成。

ほとんどが昨年の配属先変更以降から指導している選手なので、私は今回アシスタントコーチの一人として大会に帯同しました。

バウカウ選抜チームの監督は、私の配属予定先だったチームの指導者。
本来、私は2020年4月から「チルドレン アンド ユースセンター バウカウ ポンタレステ」というチームで指導をする予定でしたが、コロナ禍で派遣延期・配属先変更になりました。
監督と初めて会って自己紹介した際、配属予定先で活動をしていた前任(先輩隊員)の名前が出てきてとても感激しました。

12月に行われた予選。バウカウ開催というホームアドバンテージを活かし2勝1分け(得失点差)で突破。
準決勝戦からは首都ディリにある国立競技場で試合が行われました。

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準決勝戦の相手はボボナロ県。
バウカウの選手と比べるととても体格がいい選手が多かったです。

東ティモールは雨期真っただ中ということもあり試合開始1時間程前から雨が降り出し、グラウンドは水たまりだらけ。
そのため我々の練習してきた「止める・繋ぐ」がなかなか上手くできません。

相手は体格差を活かし、とにかくロングキックとスピードの攻撃パターンを多用。
結果、1-3で敗退しバウカウは3位決定戦に回ることになりました。

昨年行われたTaça Juvenil Sub-18という18歳以下の全国大会ではバウカウが優勝していたので2冠の夢が断たれました。

と思っていた時、まさかの事態が。

3位決定戦当日、12時頃のこと。
突然「バウカウ県が決勝戦に繰り上がることになった」との連絡があったのです。

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明らかな体格差に疑問を持った同僚(チームスタッフ)たちが東ティモールサッカー連盟に直訴。
サッカー連盟が調査した結果、ボボナロ県チームは15歳以上の選手が出場(年齢詐称)していたことが判明し、失格になったとのこと。

だから体格がよかったのか…いやいや、そんなことある!?大会前や試合前にきちんと確認すべき事項では…!?

これによりボボナロ県は来年の同大会への出場権もはく奪されました。
大人(指導者)は子供(選手)たちの可能性を奪ったということをきちんと自覚して欲しいです。

また、もしも予選でも年齢詐称をしていたとしたら…

私は昨年までディリで14歳以下の選手たちを指導していました。
ディリの選抜チームは予選でボボナロに負けたそうです。

私見ですが、大会のレベルを見た時に、一昨年および昨年の教え子たちにも選抜チームに入るレベルにある選手がいると思いました。
もしかしたら、準決勝で教え子対決(ディリvsバウカウ)が実現していたのかも…と思うと、悔しさが倍増しました。

サッカー連盟側にも責任があると思いますが、我々は切り替えて翌日の決勝戦に備えることに。

決勝戦の天候は曇りで過ごしやすい気温。
サッカー連盟会長や役員、ナショナルチームの監督・スタッフ、政府関係者なども観戦に訪れ、DJが爆音とマイクパフォーマンスで会場を盛り上げ、最高の雰囲気の中でのキックオフ。

前半4分、相手のファウルでPKを獲得。これを冷静に決めてバウカウが先制。

マヌファヒの試合(準決勝戦)を視察できていたので、注意すべき選手や攻撃パターン等への対策が出来ていたこともあり、その後も我々の練習してきたサッカー(ショートパスを使いボールを動かす)で優位に試合を運びました。

しかし前半半ば、身体能力(高さ・速さ・パワー)で勝るマヌファヒの攻撃陣への対応で溜まった疲労から走力が落ちてきた我々の隙をスピードで突かれ失点。
終了間際にも同様のパターンで失点し、1-2で前半終了。

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ハーフタイムのロッカールームでは
「勝ちたくないのか!?戦えない選手は手を挙げろ!」
など、監督が選手達に激を飛ばしました。

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その後、作戦盤を使い戦術の確認。
実はこの作戦盤、私の配属予定先にいた前任者の物(前述)。
JICA東ティモール事務所の倉庫に置いてあったのを私が引き継いで使っています。
5年以上の時を越えて繋がった1つの形に思わずパシャリ。

私からは
「全力を出しても勝てないなら仕方ないけど、まだ出しきってないと思う。自分達の力を全て出そう」
と一言伝え、選手とハイタッチしてグラウンドに送り出しました。

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ロッカールームを出ると、会場のあちこちが観客席に入れない人であふれていました。

後半、バウカウは前半と変わらずショートパスで相手を崩しにかかるもシュートの精度が悪く追いつけない展開が続きます。

相手は身体能力を活かした攻撃を徹底。少しずつ対応が遅れがちになり、ゴール前のクリアミスから混戦になり押し込まれ失点。

2点差をつけマヌファヒは少し守備的な戦い方に、バウカウは点を取るしかなくなったので攻撃的な戦い方に。

後半終了残り5分。
マヌファヒの右サイドからのセンタリングをバウカウのゴールキーパーがキャッチしたところに攻撃選手が接触。GKが負傷し、相手選手は危険な行為により退場に。

しかし・・・我々は交代枠を使いきっていました。
そのため、GK経験のあるDFの選手を急造のGKにせざるを得なくなる事態に。

すると「GKは(追加で)交代して構わない」と大会本部が特別ルール(?)を打ち出したのです。
これまたそんなことある!?という感じでしたが、これにより我々は数的優位になりました。

負傷対応等があったためアディショナルタイムは「7分」の表示。
バウカウの選手たちは最後の猛攻を見せました。

そして45+3分、スルーパスから抜け出した選手が一矢報いる得点。
会場からは「バウカウ!バウカウ!バウカウ!」との大声援が。

声援の後押しを受け、なおも続くバウカウの猛攻。
そして試合終了間際、相手のファウルでペナルティエリア付近からのフリーキックを獲得。

相手選手は1人を残して全員が下がりました。
そこで私は「GKも全員上がれ!」と指示。
しかし監督は「だめだ!GKとDF1人は残れ!」との指示。

結果は・・・

泣き崩れるバウカウの選手達と、喜びを爆発させるマヌファヒの選手・スタッフたち。

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最後のプレーに関しては監督の意見を尊重しました。
(その場で口論しても何もならないし、時間も無かったので)

ただおそらく、私を含む多くの(日本人・外国人)指導者なら

・決勝後半ロスタイムのラストプレー
・1点差で負けている

という状況なら、追加点を奪われても(2点差になって)も同じ(負け)なので全員を上げると思います。
日本なら年代によっては、自身でそう判断できる選手・チームもあると思います。

大会前の練習でも、監督はセットプレー(フリーキック等)の練習は一切しなかったです。
こういった戦術・経験・知識が、東ティモールの選手・指導者は足りないなと教えられました。
(雨の日の戦い方(準決勝戦)もまだまだでした)

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残り2か月と少しとなった活動期間。
少しでも多くのことを伝えられるよう頑張ります。

até tempu seluk!(テトゥン語で「アテテンプセルク!/またね!」)

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