2019/07/30 Tue
活動
その12:最近の廃プラスチックの動き
既にご存知のように、2017年末から中国が廃プラスチックを含む廃棄物の受け入れを禁止しました。これまで中国頼みだった廃プラスチックは行き場を失い、今や日本も含めて世界中で大問題となっています。MajuroでもCDL(飲料容器デポジット制度)の開始に伴い、大量の廃PET飲料容器が集まりようになり、圧縮装置によりブロックとなった廃PETブロックが山のように積み上がっています。
#01 Majuroの廃プラスチックの現状
Majuroでは現在のところ、写真に示すように廃PETブロックを埋め立て材料としてそのまま埋め戻すしか手段がありません。しかしながら、圧縮装置で圧縮してはいるものの、埋め立て材料としては強度不足のためどこでも使えるわけでなく、もっぱらLaura地区で建設途中のMAWCのCompost基地の埋め立て材料としてのみの利用にとどまっています。場所の制約もあり、このままの状態でいつまでも続けるわけにも行きません。次のステップとして、廃PET容器をチップ化しコンクリートに混合して、コンクリートブロックの増量材としてどの程度まで混合が可能なのか検討をおこなっています。
#02 最新の廃プラスチックの世界的な動き
廃プラスチックに関する重要な動き2点を、JICAミクロネシアの企画調査員さんから最近共有していただきました。以下に概要を示します。
有害廃棄物の越境移動による環境汚染を防ぐことを目的とした「バーゼル条約」に今年5月新たに「汚れたプラスチックごみ」が加えられることになりました。従来は有害物質だけであった規制対象が「汚れた」廃棄物まで広がったということが大きな変更点です。その結果、Majuroでも大きく積み上がってきた廃PETブロックは将来的には受け入れ相手国の同意がない限り、海外に持ち出すことが不可能となります。2021年1月からの発効ということになっています。
一方、これとは逆の動きですが、スポーツ用品大手のアディダスがNGOと連携して海洋廃棄プラスチックから製造したスニーカーの新製品の販売を開始したという動きです(参考リンク先:下記に示します)。
https://shop.adidas.jp/sustainability/the_oceans_death_by_plastic/
このように廃棄物から製品を製作していく流れを「アップサイクル」というそうです。これまでの「リサイクル」とは異なり、元の製品よりも付加価値の高い製品を生み出すというコンセプトとのことです。欧米メーカーではこういった新しいコンセプトを明示することが上手です。
現在、日本をはじめ世界の大手メーカーでは廃プラスチック問題対策として、いろいろな動きがあるようです。このような大手メーカーの先進的取り組みが世界的な潮流になっていくと、廃プラスチック問題解決の糸口となる可能性がありそうですね。今後の動きに注目していきたいと思います。
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