JICA海外協力隊の世界日記

マーシャルのゴミから見える世界

その17:マーシャルとソロモンの似て非なるところ

今回はソロモン諸島共和国(以下、ソロモン)の同期SV隊員がMajuroを訪問してくれたので、マーシャルとソロモンの似て非なるところをご報告します。

 まず、大洋州の国々の位置図を示します(出典:国際機関 太平洋諸島センター(PIC))。マーシャルは北太平洋に広がるミクロネシア地域の国であるのに対して、ソロモンは南太平洋に広がるメラネシア地域の国になります。

#01 マーシャルとソロモンの共同社会

 ミクロネシアとは約2〜4千年前から人が住みだした比較的新しい地域です。これに対して、メラネシア地域は約3万5千年前から人が住みだした地域とのことで、同じ大洋州といえどもだいぶ様相が違うようです。

 例えばメラネシアにおけるワントクという仕組みがとても特徴的と感じました。詳しくはメラネシア地域の隊員報告などをご覧いただくとして、ワントクとはOne Talkに由来し同じ言葉を話す集団のことをいい、このワントクという集団内ではリーダーの下でみんなが助け合う互助社会システムとのことです。その結果、ソロモンでは言語として120もの固有言語があるとも言われています(Wikipediaより)。

 おそらく国家という概念が成立する以前から、いかに“仲間”同士が平和に生き延びていくかという営みの中で生み出されてきた生活の知恵なのかも知れません。比較的新しい地域であるミクロネシア、例えばマーシャルでは養子のやり取りで親類関係を広げ、親類縁者のまとまりの中で助け合うという仕組みはありますが、ワントクまで明確なシステムはなさそうです。

#02 マーシャルとソロモンのゴミ文化

 今回、ソロモンのことをお聞きして面白いと思ったのが、ソロモンではいまだにゴミはポイ捨て文化だということです。おそらくプラスチックなどの合成物質が普及するまでは全て自然に還る有機性物質であったと思われます。自然からお借りした品々はまた自然にお返しする、見方によれば究極のリサイクル社会といえるのかもしれません。それが現在ではプラスチックなどが普及した結果、ポイ捨て文化と非難される状況になっています。

 大洋州の国々の一人当たりのゴミ排出量の比較表を示します(第6号からの再掲)。これによると、ソロモンの首都であるHoniaraの一人当たりのゴミ量はMajuroに比べると約30%少ないのですが、実はこれはGreen Waste 分の差でもあるようです。つまり、ソロモンでは収集されていないGreen Waste 分だけMajuroが多くなっていると見ることができます。

 単純に排出量だけを比較するとMajuroが多いのですが、中身を見るとGreen Waste まで収集サービス(Majuro)をしている結果でもある。集めるから集まるのか、集まるから集めるのか?この数字をどう解釈して、次の行動に繋げていくのか。廃棄物の世界の奥は深いとつくづく思います。

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