JICA海外協力隊の世界日記

マーシャルのゴミから見える世界

その21:あらためて日本の良さ

12月になりクリスマスも近づくと、こちらの人もソワソワし出します。また、クリスマス休暇には故郷に帰る人も多くなります。今年の年末には私は一時帰国しませんが、昨年末一時帰国した時にあらためて感じた日本の良さをまとめてみようと思います。

 写真(上)は私の故郷、滋賀県琵琶湖の風景、写真(下)はここマーシャルのMajuroラグーン(内海)の風景です。琵琶湖(669km2)に対してMajuroラグーン(295km2)は約半分の面積ですが、穏やかな水面を見ていると、琵琶湖を見ればマーシャルにいるような、あるいはMajuroラグーンであれば故郷にいるような錯覚におちいります。

#01 日本のメンテナンス体制の素晴らしさ

 昨年末、日本に着いた時、どんな第一印象を持つのか楽しみでした。第一印象はトイレのきれいさ、歩く人の速さでした。まさに、外国の方が日本で感じる第一印象ですね。そして、停電のない電気、断水のない水道、時計のように正確な電車などなど。インフラの充実、それを支えるメンテナンス技術レベルの高さをあらためて実感していました。

 その中で特に印象的だったのが、この写真です。年末大掃除の最中に洗濯機が突然のストップ。もう6年以上使っているので、保証期間は過ぎ、説明書によれば交換部品の保管期間も終了とのこと。ダメ元で、販売店に問い合わせてみると、私の住んでいる地域担当の技術者が電話した翌日には修理可能か見てもらえることに。そして、約束の時間通りに訪問してくれた技術者は交換部品があれば修理可能との返事。見積もりもその場でプリントアウト。19,656円也。技術者が交換部品の検索を行うと、この地域の部品センターに在庫あり。約1時間後、交換部品を持参して、修理は約30分で完了!

 写真はその時のものです。地域担当の技術者(一人でこのメーカーの洗濯機、エアコン類は全て直すとのこと)、交換部品の在庫、部品検索システム、それを維持している通信、交通などのインフラ。どれか一つ欠けても実現できない技術です。あらためて“日本の良さ”をまざまざと実感しました。

#02 マーシャルでこれを実現するために

 ひるがえって、マーシャルでこのようなメンテナンス体制を実現しようと思ったら、、、。

 修理できる技術・技術者がなく、メーカー指定の交換部品が手に入らないこと。これが大きな壁になっています。私の職場には日本などからの補助金で贈られたものも含めて、多くの動かなくなった重機類があります。街角で見かける動かなくなって放置されている自動車もそうです。

 今、その反省を踏まえて、メンテナンス体制の構築が急務です。JICAをはじめとする支援を得つつ、修理ができる技術者の育成と交換部品の在庫管理の構築。地道な取り組みですが、マーシャルにとって本当に必要な基幹の技術だと痛感します。

 一方、私の職場(Majuro環礁ゴミ公社;MAWC)では電化製品等の中古部品の販売も行っています。一般の方が壊れたエアコン、洗濯機などの電化製品などを自前で直すために交換可能な中古部品をゴミ山から自分で見つけてきて、交換修理されています。上記のアプローチとは逆といえるかも知れませんが、自己流メンテナンス技術というべきものですね。当然メーカー保証もありませんし、動けば儲けものという考え方ですが、実際にこれで動いている機械も多くあります。以前第7号で述べた「適正技術」のひとつと考えることもできそうです。添付のリストはMAWCの中古部品価格表(一部抜粋)です。

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