JICA海外協力隊の世界日記

From ナミビア ~アラフォー電気系エンジニアのアランディス奮闘記~

#07-僕の配属先の職業訓練校「NIMT(ニムト)」について その②

みなさん、こんにちは。

今回は前回に引き続き、僕の配属先の職業訓練校である
Namibian Institute of Mining and Technology:ナミビア鉱業技術専門学校
通称「NIMT(ニムト)」について紹介していきたいと思います。

▽前回の記事はこちらです。
#06-僕の配属先の職業訓練校「NIMT(ニムト)」について その① | From ナミビア ~アラフォー電気系エンジニアのアランディス奮闘記~(加藤 穂高) | JICA海外協力隊の世界日記

今回はアランディスの教育システムについての紹介です。

この記事のソースは、加藤の聞き取りとNIMTのWebサイトからの引用なので、英語が得意な方は、ぜひ以下のNIMTの公式サイトものぞいてみてください!

【NIMT公式サイト】NIMT (nimtnam.com)
【NIMT紹介用パンプレット】Aug 2023 Info Broucher.pdf - Google Drive


1.NIMTの教育課程

1-1.NIMTの通常コース(FULLTIME)のカリキュラム

NIMTは日本での分類で言うと専門学校に当てはまるような教育機関で、生徒の年齢は18歳以上です。

通常コース(FULLTIME)の新学期の開始は年に2回で、3月と9月です。
なぜ、1年の中で2回の新学期開始のタイミングがあるかというと、以下の様に、「通学」と「Job Attachment(現場での就業実習)」を交代で実施するようなカリキュラムになっているからです。

<通常コース(FULLTIME)1~3年目>
新学期開始後6カ月は通学。
その後、6カ月のJob Attachment。

<通常コース(FULLTIME)4年目>
3年目のJob Attachmentから継続して10カ月のJob Attachment。
その後、卒業資格取得のために2カ月通学。

【出典】Aug 2023 Info Broucher.pdf - Google Drive(NIMT紹介用パンプレット P.6)

1-2.通常コース(FULLTIME)以外のコース

NIMTには、1-1で説明した通常コース(FULLTIME)以外にも、主に社会人を対象とするコース(SPECIAL、SKILLS UPGRADING)もあります。

<SPECIAL>
6カ月間の通学で、実技に関する資格取得を目指すコース。

<SKILLS UPGRADING>
長期の通学が難しい人向けのコースで、短期間で実技に関する資格取得を目指すコース。
1年目:6週間の通学
2年目:7週間の通学
3年目:9週間の通学
資格試験の準備期間:4週間~8週間の通学

通常コース(FULLTIME)とその他のコース(SPECIAL、SKILLS UPGRADING)では、取得できる資格が異なります。
通常コースでは、実技と理論の両方に関する資格が取得できますが、その他のコースで取得できるのは実技の資格のみです。

NIMT公式サイトでは、以下の様なチャートが公開されています。

NIMT2.png

【出典】NIMT - Instrumentation (nimtnam.com)


2.NIMTと他の職業訓練校との違い

2-1.NIMTで取得できる資格

実は、ナミビアにあるほとんどの職業訓練校では、取得できるのは実技の資格のみです。
ですが、「1.NIMTの教育課程」で書いたように、通常コースを卒業すると、実技と理論の両方の資格を取得できます。
これは、NIMTが実技訓練と理論訓練の両方で、ナミビア資格局の認定を受けているからです。

【出典】NIMT - ABOUT US (nimtnam.com)

また、理論の資格試験に、南アフリカの高等教育・訓練省(Department of Higher Education and Training: DHET)が管轄する試験を使用しているのもNIMTの特徴です。

【参考】Department of Higher Education and Training (dhet.gov.za)

2-2.Job Attachment(現場での就業実習)

さらに、Job Attachmentが他の職業訓練校よりも長い期間になっていることもNIMTの特徴です。
NIMTの通常コースに4年間通学すると、約2年間はJob Attachmentによる実務経験を積む期間になります。

また、このJob Attachmentは日本のインターンシップと似ているところがあって、受入れる雇用主側が将来的にの従業員になる可能性のあるNIMTの生徒の力量を判断する機会にもなっているそうです。

まとめると、NIMTの卒業生は、以下の2点において、他の職業訓練校の卒業生よりも有利な条件で求職を行うことができます。

1.卒業時に実技と理論の両方の資格を取得済みであること。
2.卒業時に約2年の実務経験があること。

これらの要因から、NIMTの内部でまとめたデータによると、NIMTの卒業後就職率が87%であるのに対し、他のナミビア国内の職業訓練校平均は約40%と、NIMTの卒業後就職率は平均の2倍以上になっているそうです。


3.NIMTが大切にしている「規律(Discipline)」

NIMTの先生方は、皆さん「生徒たちの規律(Discipline)を大切にしている」とよく口にします。

言い換えると、「ルールを守る意識や姿勢」ということです。

NIMTでは遅刻などのルール違反に対して厳しく罰を与えます。
ですが、これはNIMTの卒業生たちが、鉱物資源の採掘場など、リスクの大きな場所で働く可能性が高いためです。

現場では、たった一つのルール違反や判断ミスが、命に関わる事故につながることを、先生方がよくよく理解しているので、生徒たちを守るために、規律(Discipline)の重要性を徹底的に叩き込むのです。

そして、この規律に対する意識の高さは、卒業後の求職の際にも有利に働きます。
雇い主の皆さんは、NIMTの卒業生が規律を重要視していることをプラスに捉えるので、NIMTの卒業後就職率を高める要因の一つにもなっています。


以上、NIMTの教育システムの概要でした。

この記事の途中でも書きましたが、NIMTはナミビア国内の他の職業訓練校と比較すると、卒業後の生徒の就職率が非常に高いです。
この卒業後就職率の高さの秘密は教育システムにあるのだと感じています。

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

それでは、次回もお楽しみに (^_^)/ !!

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