JICA海外協力隊の世界日記

ラオスを縫う

カウベルの響く街(シェンクワン旅行)

2023年の7月、ジャール平原などの世界遺産がある北部のシェンクワン県を旅行しました。

首都から飛行機で35分ほどのところにあります。

県都のポンサワンはとても落ち着いた街で、中心部でも牛が空き地で雑草を食べているほど。至る所からカウベルの音が聞こえてきます。

2日目は少し遠出し、県都ポンサワンから30kmほど離れたムアンクーンという街を訪れました。

ムアンクーンまではローカルバスに乗り、街中は徒歩で歩き回りました。

この街には16世紀ごろに建てられた仏塔や空爆により崩れた寺院、病院跡などがあります。

小高い丘の上にある仏塔は煉瓦造りで苔むしていてなんだかジブリな雰囲気。

夕方になりポンサワンの街に戻ろうと幹線道路沿いでバスを待ちましたが一向に通りません。3時間ほど待ち辺りが真っ暗になった頃、ようやく首都ビエンチャンからシェンクワンよりさらに北のサムヌアへ向かう大型バスに拾ってもらいポンサワンに戻ることができました。

ポンサワンに戻りその日の夕食は燕のフライ。

シェンクワンのご当地グルメとして有名なのだそうです。

旅行中には知り合いが活動している、県都から離れた村にも訪れ、ミシンの使い方やランチョンマットの縫い方講習をしました。

村には美しい棚田が広がり、牛や鶏がそこら中を歩いているとてものどかな場所でしたが、

周辺にはベトナム戦争時に爆撃でできたという巨大なボムクレーターがいくつも残っていました。

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また、村のお宅にお邪魔した際にそこでフォーの麺を作る様子を見せていただきました。

薄く乾いたお米のシートに一枚一枚食用油を塗り広げ、重ねてから裁断していました。

シェンクワンのフォーは細麺でコシがありスープがよく絡みます。

首都に比べてフォーの麺がやたら美味しいと感じていましたが、手間暇かけて作られていることが見て分かりました。

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シェンクワンには世界遺産の石壺遺跡があり、広範囲に100以上の大量のサイトが存在します。

有名なのは世界遺産に指定されているサイト1のジャール平原。

だだっ広い平原に石壺が埋まっています。

ここの石壺にはラオスの内戦時の弾丸の跡なども見られました。

サイト2では小高い丘から景色を楽しむことができます。

また、蓋のある石壺もここで見ることができます。

私のお気に入りはサイト3。

遺跡にたどり着くまでの道のりがおもしろく、田んぼの畦道を進み、小川を渡ると遺跡が出てきます。

青々とした稲に囲まれているため雨季に行って正解でした。

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途中スプーンビレッジにも立ち寄りました。

村の中の鍛冶場のある家に向かう時通行止めがあり、ちょうど不発弾を爆破処理するところに遭遇しました。

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ラオスはベトナム戦争時の9年間に58万回の爆撃があり、200万トン超の爆弾が落とされました。

シェンクワンにはベトナム戦争時にベトナム攻撃から帰還するアメリカの爆撃機が、余った爆弾を捨てていったため大量の不発弾が埋まっています。

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スプーンビレッジは名前の通り、不発弾を利用してスプーンなどの商品を作り生計を立てています。

現在村では不発弾が少なくなっているため窓のサッシなどのリサイクルアルミが利用されていました。

シェンクワンの牛がつけている金属のカウベルの音が気に入ったので、アルミのカウベルを買いたいと言うと古びて音の出ないものを持ってきてくれました。

そして外側の汚れをサンダーで削り、音を出すために中に薬莢をつけてくれました。

あるもので作る、不発弾さえも資源として利用するラオス人のたくましさを感じました。

しかしながら、除去された不発弾は全体の1%にもみたないという話もあり、ここで暮らす人たちが戦争の影響のない生活を送れる日は来るのだろうかと考えさせられた旅でした。

ではまた次回

ぽっぷ かん まい(またね)

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