JICA海外協力隊の世界日記

手のひらのパナマ野生蘭

APROVACA(アプロバカ)

こんにちは。あゆみです。

今回は、配属先であるAPROVACAについてお話します。

APROVACAは、Asociación de productores de orquídeas de El Valle de Antón y Cabuya(エルバジェ・デ・アントン、カブジャ蘭栽培者協会)の頭文字をとって、アプロバカと発音します。ちょっとユニークな名前ですね。パナマ人にも、よく「どんな意味?」と聞かれたり、アロプバカとかプロアカバ....と、なかなか覚えてもらえないので、パナマ人にとっても珍しい名前のようです。

世界では、約30,000種類の蘭が生息していると言われます。

そのうちの約1、500種類がパナマに分布しており、APROVACAでは約150種類の蘭を栽培しています。APROVACAの蘭の大多数は南米、もしくはパナマの固有種です。つまり、南米か、パナマでしか花を咲かせない、貴重な蘭なのです。蘭はより好みの強い花で、受粉には特定の虫や鳥、生育には決まった湿度や気温、微生物を必要とします。なので、パナマの蘭を守るということは、パナマの自然環境を守るということでもあるのです。

パナマの野生蘭は山の奥にひっそりと生息しています。

APROVACAの目の前にそびえ立つ山、セロ・ガイタル(zero gaital)では、「これが蘭なの?」と思ってしまうほどの小さな蘭が、人目を忍ぶよう、森の中で静かに美しい花を咲かせています。

しかし、近年では、自然資源を得るため過剰に森林が伐採され、マーケットでは珍しい蘭が観光客と地元商人の間で高値で取引されるため、絶滅の危機にさらされている野生蘭が少なくありません。APROVACAでは、セロ・ガイタルに生息する野生蘭を保護(protección栽培室で繁殖(reproducción)→ セロ・ガイタルへ植花(replantación)を繰り返すことで、固有種の保護をしています。一方、蘭伐採を生業とする地元住民に対しては、APROVACAで新たな雇用を創出し、自然資源を守りながら収入を得る手段を提示しています。観光客には、ガイドツアーやイベントを通した環境教育を実施し、パナマ野生蘭の正しい現状理解を促すことで、持続可能な野生蘭の保護活動を行っています。

私たちは小さなNGO団体ですが、2001年の設立以来、JICAをはじめ、パナマの環境省、国内外の研究機関と数々の共同プロジェクトを果たしてきました。2005年の愛知万博では、優れた環境技術を持つ企業やNGOに贈られる「愛・地球賞」を受賞しています。

では、本日の蘭「Miltoniopsis」通称ミルトニア。

パナマ原産で、APROVACAのロゴにも起用されています。今年は双子の花が4組咲きました。

のっぺりとしたお顔ですが、とても香りがよく、緑に映える3色の色合いがキュートな蘭です。

パナマは乾期が始まりましたが、APROVACAの蘭たちは今日も力強く咲き誇っています。

Ayu

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