2017/03/03 Fri
活動
なんだろう、蘭
こんにちは。あゆみです。
今回は、蘭についてお話します。
みなさんは、”蘭”と聞くと、何を思い浮かべますか?
日本で馴染みの深い「胡蝶蘭」は、贈り物として人気があるので、”気品の高い”イメージがあるかもしれません。わたしはパナマに来てたくさんの蘭に出会いましたが、蘭とは実にユニークで、じっくり観察してみると非常に奥が深い花なのです。
・蘭の花びらはいくつ?
ピンクのドットが可愛らしいエピデンドラム(Epidendrum stamfordianum)。この写真を見て、花びらはいくつあると思いますか?
正解は、3つです。あら、5つじゃないの、と思った方も多いのではないでしょうか。実は、少し手前に出ている2つ黄緑の部分と黄色いヒラヒラした部分の3つは花びら(花弁)で、残りの3つの黄緑の部分は咢片なのです。咢片とは、花を支える部分です。蘭の咢片は花びらそっくりで、まるで花びらが5つあるようにも見えます。下方にあるヒラヒラしている部分は“唇弁”といって、受粉を行う虫の着地点となります。その名の通り、鮮やかな色で虫を誘い込む、セクシーな唇のような役割をしています。
・蘭は夫婦なかよし花
花は、雄しべと雌しべを持っています。たいてい、中心に雌しべがあり、雌しべを取り囲むように雄しべが配置されています。しかし、蘭の場合、中心部分が“コラム(ずい柱)”という特徴的な形をしています。コラムの中では、雄しべと雌しべが一緒になっており、受粉は、唇弁からコラムへスムーズに行われます。写真のエピデンドラムのように、ストローみたいに突き出ているものもあれば、ハトの形や、豚の鼻のような形もあります。雄しべ(パパ)と雌しべ(ママ)が一緒の蘭は、夫婦円満の花といえるかもしれませんね。
・どこにある、木の上、 土の上
蘭には、着生種と地生種があります。つまり、木の上に生える蘭と、地面に生える蘭があるのです。パナマの蘭の85%は着生ランだと言われています。木や樹皮に太い根を絡みつかせて成長し、樹皮や空気から水分や栄養を得ます。もしも着生ランを土に植えてしまうと、通気性の良い場所を好む蘭にとって土の中はうっとおしく、上手に育ちません。
地面から地生ランの蔓が伸びて、木の幹に巻き付き、最終的には着生ランになってしまうこともありますが、木の上にひょっこり蘭が生えているだなんて、日本では珍しい光景ですね。
・この虫、あの鳥、その微生物
着生種と土生種を見分けたとしても、蘭はどこにでも咲くわけではありません。比較的高い気温と湿度を好みますが、太陽の直接光は薄い花びらを焦がしてしまいますし、水分がありすぎても枯れてしまいます。また、受粉には、特定の虫や鳥を必要とし、土の中の微生物までも蘭の成長を左右します。つまり、野生蘭を育てるということは、その土地特有の自然環境を維持することでもあるのです。
しかし、なんといっても、蘭の一番の魅力は、”お顔”です。
よく見てみると、人間のように個性のある顔つきをしているんですよ。
次回は、おもしろい顔のパナマ野生蘭を特集してみたいと思います。
Ayu
SHARE