JICA海外協力隊の世界日記

ラオスの暮らしを知りたい

中間報告会

首都ビエンチャンにあるJICAラオス事務所で先月、中間報告会に登壇した。配属先である「Forestry Training Center」に赴任してから「約9か月目」の活動報告となった。

ラオスの中間報告会は、派遣中の隊員、JICA 専門家、JICA 事務所員、その他ラオスで活動されているNGOや企業の方に向けて、日本語で活動内容を発表する。内容は「赴任から1 年を通しての活動概要、進捗状況、課題、活動事例の紹介、成功例・失敗例、配属先・任地紹介等」。発表は10分、質問は5分の計15分。

当日はセンターの活動を広報するため、紙布(しふ)で織ったラオスのシャツと、草木染めの綿製パンツで着飾った。しかしコロナウイルスの影響で参加者の多くがオンラインであったため、着飾った意味はあまりなかった。服以外に手漉き紙や紙布なども持参したが、多くの方に近くで見たり触ったりしてもらう機会とはならなかった。

今回は時間が限られていたため、センターの手工芸品グループ「Vangvieng Posa Handicraft」に対する課題を中心に発表した。色々と個人的に課題を感じている中で、特に以下の4点に絞った。

  • 後継者不足
  • 広報、PR不足
  • 道具の老朽化
  • 管理者不在

この4点はまたの機会に書きたいと思う。

報告会では、発表の最後に活動の反省点として以下の2点に触れた。

  • 「根をおろすための活動になっていない」
  • 「職員や生産者を信頼していない」

1点目は自分1人で突っ走っている面があるということ。例えば、「Vangvieng Posa Handicraft」の記録台帳や商品仕様書の作成、各記録の紐づけなどは自分一人で考えてしまっている。現状では提案すれば、職員・生産者共に協力してくれる。しかしセンターの職員や生産者主導でないため、私の任期が終われば途絶えるのが明らかな状態となっている。

「根をおろす活動」にするためには、私の考えていることを職員や生産者にうまく伝えなければならない。しかし約9カ月活動してきた中で、課題やその対応策を職員や生産者にうまく伝えるのはとても難しいことだと感じている。うまく表現できないが、職員や生産者と私の間に、今まで自分が生きてきた前提とは異なる何かがある。そのため日本語で考えた内容をラオ語に訳し、文章で提示するだけではほとんど伝わっていない。ラオス人の職員や生産者に理解してもらえるような方法を考えなければならない。言葉だけでなく実体験や疑似体験のようなものをうまく組み合わせてできればと思いつつ、頭の柔らかさが足りないのでなかなかうまくいっていない。出張やワークショップなど印象的な活動の記憶をうまく利用し、職員や生産者にうまく考えを伝えられるように対応していきたい。

2点目の内容は、ラオス人の社会起業家と出会うことで気がつけた。その方は私が配属される以前からセンターに協力してくれている。私は自分の思い通りにならないと生産者へすぐに口出ししていた。しかしラオス人の社会起業家は、生産者と一緒にやりながら方法を教えればあとは彼女たちがやってくれる、というようなアドバイスを私に与えてくれた。

私は早速、そのアドバイスに従ってポップに商品名、サイズ、価格を記載し、ショップ内の棚に貼りつける作業を始めた。1人で勝手にポップを作るのではなく、生産者の中で最も協力的な方と一緒にポップを作成した。そして、他の生産者にも教えといて、と一緒にポップを作った生産者に伝えた。しばらく無関心を装っていると、ほかの生産者が一緒にポップを作った生産者に、どうやるの、と聞き始めた。そしてポップを一緒に作った生産者はやり方を他の生産者に紹介し始めた。

この場面から私は「待つ」ことの大切さを学んだ。生産者たちは何も理解していないのではなく、始めるスピードが私と彼女たちで異なるだけだった。そのため今後は、職員や生産者を信頼し、ある程度待つことに決めた。

しかし、整えた環境を維持することはできていない。商品のポップが剥がれていたり、分類外の商品が棚に陳列されていたりしてもまったく気にしない。こうなるとどうしてもすぐに口出ししたくなる。まだまだ学んだと言いながらも自分に対する課題を多い。

途中から話が反れてしまったが、中間報告会は活動全体を引き締める効果があった。暗中模索の状態ではあるが、この振り返りを機会に何か新しい一歩を踏み出したい。

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