JICA海外協力隊の世界日記

コンピュータと絵本

モザンビークの昔話考察

 3つの昔話に絵を描いてくれた3人です。左からルーベン(ねずみと猟師)、ロザーナ(月の娘)、ハリス(バレとマメジャ)。

 3つの昔話には共通点があります。3つとも妻、あるいは嫁が働かない、もしくは働けない、ということです。「ねずみと猟師」では、目の見えない妻が家事をするのにいろいろと支障があることがうかがえます。「月の娘」では、働かない嫁はプリンセスのような特別な存在であるわけです。このふたつは、働かない妻が幸せになるケース。一方、「バレとマメジャ」では、働かない嫁は追い出されます。

 「ねずみと猟師」では、夫は肝心の時にたよりない男です。目の見えない妻を放って家をあけたおかげで陥った事態に対処することができません。「月の娘」でも夫は、働かない嫁を連れて来て母や姉を困らせたあげく、月からも見放されるだめな男です。この二つのお話の中で、妻を助けるのは、ねずみや亀という動物です。「バレとマメジャ」でも、夫のイメージはよくありません。家事ができないバレを嫁にして、それに気づかないような夫のくせに、マメジャの有能さを認めず追い出すような、理不尽な男、という印象を受けます。夫は困っている時に助けてくれるどころか、災いをもたらす存在のように描かれています。助けてくれるのは身近にいる動物、というパターンが共通しています。亀が身近な動物かどうかは、意見が分かれるかもしれませんが。

 3つのお話はいずれも、女の立場、嫁の目線で語られているようです。夫に愛想をつかしている女たちが描き出した物語、のように見えます。こういうお話を聞かされる子供たちは、あまりうれしくないのでは、という気がしなくもないです。子供に聞かせる話として語り継がれるのではなく、夫がいない間に、女同士で子守をしながら、日ごろのうさをはらすお話として語られたのではないか、と考えると納得できます。

 以上は私の個人的な勝手な考察です。アフリカの民俗学的視点から見れば、別の考察があると思いますが、いずれにしても、いろいろ考えさせてくれる面白いお話たちです。

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