JICA海外協力隊の世界日記

コンピュータと絵本

象の保護区

 首都から車で3,4時間行ったところに、象の保護区があります。日曜日、ボランティア仲間4人で出かけました。ここには650頭の象がいるそうです。でも、この象たちはなかなか人前に姿を現しません。なぜかというと、モザンビークは1992年まで内戦だったのですが、その時には、たくさんの野生動物が死んでしまったと聞きました。象は長生きなので、今でもそれを覚えているのです。人間からひどい目にあわされたことを覚えているのだそうです。だから、今でも人間を避けようとするし、出会ってしまったら、襲ってくるかもしれないから、気をつけろ、と注意を受けました。

 保護区の中は車で見て回ることができます。ここは観光地化されていないので、人間のためのトイレや休憩所等の施設はありません。めったに他の車に会うこともありません。森の中の道を走っていたら、道の真ん中で小鹿が固まっていました。道を渡り始めたところで車に気づいて固まったようです。車が止まってしばらくしたら、よちよちと渡っていきました。(上の写真)母鹿は見えませんでしたが、先に渡って身を潜めていたのでしょうか。

 ここにはライオンやチータ等はいないそうです。だからかどうか、車から降りてちょっと散策するのもOKです。象にはなかなか会えませんでしたが、キリンや、インパラ、シマウマ、ヌー、等たくさんの動物たちに出会えました。彼らは天敵がいないおかげか、のびのびしてるように見えました。車を止めて、じっと見つめると、こちらが一生懸命見ようとする以上に、向こうもじっとこちらを見つめます。キリンの家族にすぐ近くで出会った時、彼らはみんな、長い首をさらに伸ばして、じいっとこちらを見つめました。私たちはしばらく見つめあっていました。

 ここは象にとって楽園ではないかと思いました。湧き水の大きな湖があって、十分な森もあります。湖にはカバとワニが住んでいて、水鳥もたくさんいました。象の天敵がいないだけでなく、人間がいないことが、ここが楽園である最大の理由なのだと思いました。象に会えなくてもいいと思いました。彼らがここで幸せに暮らしてる、と思えたからです。諦めて帰る途中、1頭の若い雄の象に出会えました。彼は水飲み場に向かっているところでした。プロのガイドである運転手が、「俺は奴とここで会う約束をしてたんだ。」と言って笑わせてくれました。

保護区の入り口に置かれている象の骨。

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