JICA海外協力隊の世界日記

YAPだより

医療用廃棄物の焼却炉の完成

日本の草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下「草の根無償」という。)の制度を利用してヤップ州立病院の医療用廃棄物の焼却炉を更新しました。焼却炉の寿命は概ね8年程度で、古くなると焼却炉の蓋の部分の耐火材が剥離したり、バーナーの取付部分の破損、鉄部の腐食などで取替が必要になります。今回で3回目の更新になり、日本から焼却炉本体と焼却炉のメーカーの技術者の調整作業のための費用合計約$62,000(供与限度額は,原則1,000万円以下)の資金援助がありました。

このほか、煙突の上部が塩害等の腐食のため破損していたので、煙突を全部取り換えることになりましたが、これは別の資金援助により行うことになりました。

この焼却炉は室内に設置されていました。更新の手順としては、まず大型クレーンで屋上から古い煙突をつり上げていくのですが、煙突は4mごとにボルトで接続されていますので、それを順次はずしながら撤去していきます。煙突は2つある手術室の間仕切り壁の間を貫通していたので、手術室の片側の壁を撤去して、壁の中にある煙突の接続部のボルトもはずして撤去しました。煙突を全部撤去したあと焼却炉を撤去しました。その手順までは順調に進みました。

次に新しい焼却炉と煙突の設置です。今回の順番は、まず焼却炉を設置し4mの長さの煙突を順次屋上から降ろしながら組み立てて行う簡単なものと思っていました。

しかしながら、大型クレーンが故障したとの連絡が入りましたので直るまでしばらく待つことにしました。2日間待ったのですが、まだ直らないとのことであとの作業もあることからチェーンブロックと人力で組み立てを行う旨、ヤップの施工業者から申し入れがあり検討の結果承認することにしました。

細かい手順は省きますが、最後に屋上に足場を組んで残り3本の煙突をチェーンブロックと人力で組み立てることが出来ました。ヤップの方々の創意工夫によりクレーンが無くても煙突が工期内に組み立てられたことに感謝する次第です。

お陰様で医療用廃棄物をこの焼却炉で無事処理できるようになり、今まであった黒煙の排出や焼却炉の耐火材の壊れたところからの煙の排出が無くなり、周辺の汚染や焼却担当者の健康被害も防げるようになりました。

なお、以前の煙突は鉄製でしたが塩害を考慮して今回はステンレス製の煙突にしました。

ただ問題が一つだけあります。撤去した手術室の壁を復旧することにしていますが、以前の煙突と比べ一回り小さくなったため焼却時の煙突の外周温度が高くなり、周囲に影響を与えるかもしれないことです。このため壁に沿って耐火材を巻いて保温することにしましたが、ヤップにはこの現場にあった耐火材が無いため、以前から相談していた日本で耐火材を製作している日本の企業から耐火材を無償提供していただけることになりました。日本政府が支援する事業であることやJICA派遣のボランティアが関わっていることもあり理解いただいたもので、これも深く感謝する次第です。まだ入手できていませんが入手次第全てを完了させる予定です。

最後になりましたが、新しい焼却炉の贈呈式が在ミクロネシア臨時代理日本大使 杉山氏からヤップ州立病院に対し行われました。(写真上段右 杉山臨時代理大使 下段病院メンテナンス部のメンバー 左端筆者)

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