2016/03/31 Thu
文化
聖なる絨毯
「木くずの絨毯」と呼ばれる、着色した木くずを用いて、まるで砂絵のように道路に絨毯を描くものです。これは日本にはない祝日でもあり、セマナ・サンタと呼ばれるイエス・キリストの復活に至までの受難や死を含めた週間で、ホンジュラスのみならず中南米全域や関わる宗教圏で行われます。しかしながら、ホンジュラスは国内全土ではなく、限られた地域でしか見られないため、なかなか貴重です。私の住むグラシアス市はそのラッキーな地域の1つです。
この絨毯を描くために、人々は以前からデザイン画を考えたり、木くずに着色を施したり、準備に追われます。当日も早朝2時に起きて、制作に取りかかります。1つのグループで描く範囲の持ち場があるので、分担して作業を行い、朝9時までには終わらせます。
朝9時頃から、今、描かれたばかりの絨毯の上をイエス・キリストの御神輿の様な物を担いだ人々や、キリストやその信者に仮装した学生等、その後方を一般人や観光客が歩きます。全てはその瞬間のための、聖なる絨毯は一瞬にして鮮やかさを失います。出発地点の教会から、最終地点である少し離れた教会までおよそ数キロ、澄み渡った空も綺麗に栄えます。
およそ正午を回った頃、到着地点の教会に到着しました。向かいの広場で寸劇のクライマックスで終局を迎えます。
さて、模様を失った絨毯のその後は。その後は、市の職員が掃除をし、夕方には殆ど消えてしまいます。沿道の隅に名残の木くずがところどころある程度で、この絨毯を再度お目にかかれるのは来年の、この時期です。
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