エクアドルBOSAI日記

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木﨑 恵理子
京都府

タイプ/職種
青年海外協力隊
防災・災害対策
派遣国
中南米
エクアドル サンタエレナ県サリーナス市
一言メッセージ
2018年1月からエクアドルの海抜ゼロ地帯サリーナス市役所危機管理部で防災教育研修を中心に活動しています。海岸部(コスタ)の生活もお伝えしていきます。

 

エクアドルで起こった大規模ストとデモについて

2019.10.16

人 文化 生活

¡Hola! ¿Cómo está? (オラ、コモエスタ?)こんにちは。皆さんお元気ですか

前回の日記で書いたとおり、この2週間あまりエクアドルは荒れに荒れておりました。原因は、政府が打ち出した緊縮財政政策の一環である経済政策の一つ「燃料費に対する補助金の廃止」に基づいた、主にガソリン代、公共交通機関の運賃値上げに伴う食糧費など生活物資の大幅な値上げでした。(2019/10/4AFBBB記事 「エクアドル 燃料高騰で抗議デモ激化、非常事態宣言参照)

大幅ストに打ち切った原因である緊縮財政政策は、IMF(国際通貨基金)など国際機関からの総額102億b米ドルにものぼる追加融資を受ける契約と引き換えにエクアドル政府が実施すべき政策だそうです。 (2019/2/25付 JETRO日本貿易振興機構ビジネス短信 「国際機関から102億ドル参照の融資取り付けに合意と発表」参照

私はそうした政策が決定されていたことすら露知らず、近い将来燃料費が上がって交通費が上がることは薄々聞いていましたが、このストが勃発するまでは呑気にエクアドルで平和に生活していたので、政策発令後の国民、特に山岳部に多く暮らす先住民族インディヘナの方々の迅速かつ顕著な反応にこれはただ事ではないと感じました。数千人、数万人ともいわれる人々が次々と主要幹線道路を封鎖し、100キロ以上にもわたる道程を徒歩などで首都まで上がり、政府機関の集まる中心部にて大規模な抗議行動を行ったのです。

それを鎮静化するべく、政府は警察・軍を出動させ催涙ガスなどを使った攻撃を行ったことから、半ば戦争のような状態に。一時は首都機能を海岸部グアヤキルに移すなど更なる国民の怒りを買う出来事が続き、都市間を結ぶ道路も殆ど通れませんでした。

2019/10/11 朝日新聞デジタル「エクアドルで暴動、補助金廃止に猛反発、政府機能を移転参照)

外出は制限され、10日近く引きこもり生活を続けると流石に疲れが溜まり、地方に住む私でさえ今後どうなるのかと先行きの見えない不安がありました。エクアドルに訪問予定だった友人も結局安全のために今回の訪問を見送り、残念でなりませんでした。

そして動きがあったのが3連休の最終日。

遂に大統領を含む政府側が国連とカトリック教会の介入を受け、インディヘナ団体の代表との直接対話を実現しました。

4時間以上にもわたる対話の結果、大統領は燃料費の補助金を廃止する政令883を無効にし、今後は代替案となる政令を打ち出すとの方針が決まりました。ようやく、この10日間あまりの混乱が収束に向かった瞬間でした。(2019/10/14付 AFPBBエクアドル大統領と先住民団体、デモ終結で合意 燃料補助金廃止を撤回参照)

この一連の抗議活動で沢山の罪もない方々が死傷し、首都キトでは世界遺産もある地区などの建物が攻撃され、破壊されています。こうした被害を政策発表前に予測し、事前にこうした平和的対話ができなかったのかと感じます。

大規模ストにより全国の経済は停滞し、この期間による経済損失は今後への風評被害等も含め、計り知れないと言えます。

以前暮らしていた中米ハイチも反政府デモ、ストはよくあることでした。ニュースを見れば、世界中で人為的な生命の危機はたくさんあります。

中南米での生活は、身近に政治を感じて生活できる環境と、行動を起こすことで自分の意志を表明する文化があり、政治に無関心といわれている日本人として学ぶべき視点もたくさんあります。

しかし、生命の尊厳だけはどこにいても、誰に対しても忘れてはいけない視点だと痛感したこの二週間でもありました。暴力は新しい暴力しか生まない。災害による生命の危機はあったとしても、避けられる事態で命を落とすようなことは絶対にいけない。そのためにも知識・知恵を付けて状況の正しい把握と物事を俯瞰的に見る力を付けていきたい、そう決意新たにしました。

シリアスな文面になりましたが、次回からはペルー旅やエクアドルの楽しいところも紹介したいと思っています。

(写真は去年12月と今年8月に撮影した首都キトの旧市街にて。大統領府のまわりの広場を中心に、世界遺産にもなっている素敵な街並みと美しい教会が連なります。街の姿、人々の生活が早く元どおりになることを願って)

¡Hasta Luego! (アスタ・ルエゴ)それではまた。