JICA海外協力隊の世界日記

純風満帆なバウカウ生活

スタディーツアー 第2弾 ~北風編~

どーも、イースター連休空けでエンジンのかからない小林です。

さて、スタディツアーから一ヶ月経過してやっとスタディツアー第2弾最終編の北風編になりました。長かったですね、ただ前回のように体調を崩さなかったのは収穫です。笑

さてさて、今回はスタディツアー終了後にとったアンケートに関してです。

まずは以下のグラフで今回のツアー日程、費用、バウカウ県で活動(地方)、ディリ県での活動(首都)の満足度を10段階として記載してもらいました。(10が最高)

日本人なので、相変わらず辛口評価がありませんね。笑

全体:理学療法としてでなく、人として大きく成長できた。理学療法だけが夢となっていたが、新しいことも今から自分で実践・発見していきたい。

ツアー日程:休憩をこまめにとれたので、体調を壊すこともなかった。毎日が驚きのあまりで、あっという間に過ぎてしまい、もっと長くいたかった。

費用:事前に考えていた予算より安く、想像以上の体験ができた。親にお金を借りていったので、もう少し予算を抑えられるとたくさんの人がいけると思う。

バウカウ県での活動:ディリとバウカウの雰囲気や生活の違いに驚いた。リハビリテーションや国際協力の様々な視点を考えさせられた。農業や特産品の製作現場を見学できたのがよかった。特産品の梱包や販売までの一連の流れをみてみたかった。

ディリでの活動:JICA東ティモールの永石所長から、東ティモールの歴史や経済などを教わったことでその後の日程に興味を持って見学できた。首都のリハビリテーションセンターを見学し、海を満喫できた。

全体的に、理学療法士としてでなく、人間的に成長できたという回答が多くみられました。今回、東ティモールJOCV全体の約2/3の人たち、JICA職員、現地人との交流に時間を多く設けれたことで「人と人のつながりの大切さ」に気づいたようでした。人との交流、首都と地方の比較を通して旅の目的だった地域リハビリテーションをよりよく経験できたようです。

ツアー日程に関しては、前回より予定を太くしたこともあり、少しつめつめになりました。ただ、予定を変更して休憩をとったりしたことが功を奏し、体力的に余裕をもって行動できたという感想をいただきました。今回は前回より1日多い日程でしたが、やはり時間が足りなかったという意見も多くみられました。2週間くらいは欲しいところでしょうか。

費用に関しては、アルバイトでまかなえたという意見や親に借りているのでもう少し安ければという意見もあり様々でした。ただ想像以上の体験をできたという回答からも、百聞は一見に如かずということでしっかり目に焼き付けることができたようです。

バウカウ県での活動では、前回の反省を生かしてより地域の人がどのような生活をしているかをみられるように他のJOCVと協力して農業センターや学校見学などを行いました。また運よく最終日に隣の家で祭りがあり、地域人と交流することができました。ただ、時期が悪く病院に患者があまりいないことで理学療法場面をあまり見せることができなかったのが反省点としてあがりました。

ディリでの活動は、所長の東ティモール開発講義により学生たちの東ティモールに対する興味がわいたようでした。また首都のリハビリテーションセンターをみたことで、東ティモールのリハビリの全体像がつかめたようでした。クリストレイでのシュノーケリングも非常に楽しかったようで、アテンドしてくれた同期隊員に感謝です。

それぞれのコメント、、、

人と人とのつながりの大切さを一番感じました。訪問リハでは様々な家庭を見させていただきましたが、親戚一同一緒に住まわれている方からご両親のいない方などさまざま。言い方は悪いかもしれませんが前者は明るく・後者は暗いイメージでした。また作業療法士・義肢装具士・調理師・農業・インターンの方々など様々な分野の方と話すことができ、とても勉強になりました。今まで大学の中での生活がメインで理学療法についての考えしか触れる機会がなく、考え方が狭くなりがちでした。今回の旅で出会った様々な分野の方と話すことであまり勉強をしてこなかった経済、歴史にも興味を持つきっかけとなりました。

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訪問リハビリで6件の家庭を訪ねさせていただき、東ティモールの現状を知ることができた。特に印象に残ったのが、脳性麻痺の女性を祖父母が見ている家だった。ベッド無しで床に直接寝たり、シャワーは雨が降ったときに外で体を洗うなど、日本で今まで経験したことのない暮らしをされており、衝撃だった。また、他の家庭を訪ねた際に、出来た人脈により選挙権のカードの更新が出来るという現場に立ち会った。理学療法をする事だけがリハビリではないということを実感した。

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今回のツアーでは多くのJOCVの方との関わりを持たせていただきました。JOCVの方の多くは自分のしたいことをできる限り最大限にされており、本人さん自身の生活はとても充実されている様子でとても輝いていました。私がこのツアーを通して学んだことの一つは、『何事においてもあらかじめ決まった答えなんてない』ということ。答えが無いから悩み考えて目の前の問題に自分なりに取り組むことが大切だということです。また、答えのない問題には自分のみでなく、周りの人の助けが重要であるということも学びました。

春から病院に就職するときっと日本、総合病院というフィールド特有?のがちがちなルールや他人の目などまた違った山が沢山存在していると思います。今自分の中で思い描いている理想とは程遠い生活が待っていてまた新たに悩んでしまうことも出てくるかもしれませんが、今回東ティモールで学ば差せていただいた経験を活かし、「病院で働く理学療法士の自分」ではなく、「理学療法という武器を持ち、何事にも考え続けることで様々な視点から地域や世界を観れる自分」として生きていきたいと思いました。

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今回ツアーに参加させていただいた理由の一つに、自分自身で東ティモールの空気を感じたり、自分の目で東ティモールの生活や医療環境を見たいという思いがありました。実際に行くことで東ティモールの良いところや改善しなければならないところがたくさん分かりました。また逆に日本に足りないことがあると感じました。それは人とのつながりです。いろんな見学をさせていただきましたが、どこへ行ってもティモール人は人とのつながりをとても大切にしていると感じました。よりよい生活をするために、人とのつながりはとても大切なことだと思うので、質の良い医療が行き届いていないことに対し勿体ないと感じました。

ツアーに参加する前は、理学療法はリハビリを行う方法の一つだということを分かっているつもりでしたが、それは自分の中での想像でしかなくぼんやりとしたものでした。実際に見学させて頂いたりお話を伺うと、ぼんやりとしたものがはっきりと分かったような気がします。まだ「分かった気がする」としか言えませんが、臨床に出たときにはっきりと「分かった」と言えるよう、今回のツアーで見たことや感じたことを忘れずに、自分の限界を決めず頑張りたいです。

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今回のツアーで学んだことは、「リハビリテーション職の専門性」と「教育の重要性」です。

 まず、「リハビリテーション職の専門性」についてです。

 東ティモールにおける小林隊員の活動は、病院や在宅、地域のコミュニティ等多岐に渡る場所で行われていました。それぞれの分野での対象者のニーズは異なっており、小林隊員の介入もその環境や背景因子ごとに変化していました。例えば、小林隊員は、病院では解剖生理学をベースとした病態の確定診断という専門的な医学的知識に基づいて対象者の心身機能を評価されていた一方、アウトリーチの際にはその地域の方々と同じ目線に立ち、疾患を持った対象者がどのようにそのコミュニティの中で活動し、どのように役割を持って社会に参加していくかを考察されていました。

 日本において「リハビリテーション」という言葉は、まだまだ機能訓練に限局した、すごく狭い範囲の概念を表すものとして用いられているように感じます。しかし、今回の小林隊員の活動を見学させて頂く中で、より広い視野で対象者の生活を捉えていき、リハビリテーション職としてどのように関わっていくのかを考えることの重要性を再確認しました。

 それに加えて、私自身が元々作業療法士であり、理学療法士と作業療法士の視点の違いにも気づくことができたと感じています。その違いとは、理学療法士が解剖生理学に基づき心身機能を通じて対象者の生活を診ている一方、作業療法士は作業を通じて対象者の生活を診ていることです。小林隊員は、バウカウ県病院では、理学療法士的な視点から詳細に対象者の心身機能を評価されていましたが、在宅においては対象者の作業の意味を考え、自身の存在を活用しながらコミュニティに関わっていらっしゃいました。このように、どちらの職種の視点が優れているかということではなく、対象者のニーズを鑑みて柔軟に対応していくことが、リハビリテーション職種に求められることのひとつであると感じました。こうした視点の違いに気づくことができたのは、専門分化がまだ進んでいない発展途上国での活動を見学させて頂くことができたからだと考えています。

 次に、「教育の重要性」についてです。

 今回のツアーでは、小林隊員の理学療法士としての活動以外に、サッカーや農業、経営など様々な分野での協力隊員の活動を見学させて頂きました。どの分野においても共通して必要だと感じたことは、専門的な知識や考え方のベースにある「考える力」です。

 日本で生まれ育った私にとって、教育は当たり前のように身近に存在するものに過ぎませんでした。しかし、途上国ではその当たり前が当たり前ではないケースもあります。教育機会が与えられることで「考える」機会を得ることができるとすれば、そういった教育の環境が整備されているという環境は、専門的な分野の発展や将来の可能性の拡大に少なからず影響を与えるのではないかと考えました。これは、発展途上国に限った話ではなく、日本における一般的な教育や専門職教育にも通じていると言えます。

私自身のキャリアとして、最終的には教育に関わることができるような道に進んでいきたいと考えており、今回のツアーで様々な角度から教育の重要性について考えることができたと感じています。

1週間という期間ではありましたが、リハビリテーションに限らず、非常に多くのことを学んだツアーでした。

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いやー、やっぱりフィードバックって大切ですね。

このスタディーツアーで一番成長しているのは、自分かもしれませんね。本当に良い思い出、そして経験になりました。

ということで

任期中にスタディーツアーを2回もできました。私自身、JOCVに来るきっかけとなったのはスタディーツアーに参加したことでした。一人でも多くの人に実際の現場を見てもらいたいという思いでやってきたましたが、このようなアンケートをみると本当にやってよかったなと感じます。今後は、このツアーが今後も続けられるようにしていくことを考えていこうと思います。

最後になりますが、JICA東ティモール所員の方々、活動先・関係施設の同僚たち、JOCVのみなさん、母校広島国際大学の先生、そして実際に来てくれたみんな。

本当にありがとうございました。

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