2017/07/28 Fri
活動 生活
教育実習モニタリング~垣間見えた学習言語としての英語の難しさ~


ザンビアのカレッジの学生たちは、2年生と3年生でそれぞれ教育実習があります。
同様に私の配属先の学生たちも、第一タームの3ヵ月間(1月~4月)は3年生が、第二タームの3カ月間(5月~8月)は2年生がそれぞれ自分が選んで申し込んだ小学校に教育実習に行きます。
学生たちは、日々の指導案や生徒の様子などを記したものがたくさん挟まれている分厚いファイルを持ち歩き、何かあればすぐに見れるように準備しています。


今回はCPと一緒に二つの小学校に行かせていただきましたが、学生たちは一方的に話すのではなく、こうして一つ一つの机を回り丁寧に指導していました。
モニタリング後、学生は評価シート(日本と同様に、指導教官が評価点や修正すべき点などを記した用紙)を見ながら、指導教官と一緒に自身の授業を振り返っていました。
ちなみに評価シートの項目は大変細かく、中には、「支援を必要としている生徒にも目を配れているかどうか」という項目もあります。
ザンビアでは、特別支援教育の概念もあります。


こちらはグレード5の理科のクラスで、子どもたちがのぞき込んでいるのはペットボトルと砂を用いた実験の様子です。
みんな興味津々で集中して観察しています。
ちなみに、ザンビアではグレード4までは現地語で授業がなされますが、グレード5の学年から全ての教科の学習が英語で行われます。
しかし、今回モニタリングに行った小学校では、グレード5でも現地語で授業がなされていました…
後から話を聞いてみると、やはり英語で授業しても理解できない生徒が多く、仕方なく現地語を使っている…とのことでした。
基本的にはザンビアの人々は英語が堪能です。街であればどこに行っても、誰と話しても英語は通じます。
(職種によっては現地語を必要としている隊員もいますが、私自身は配属先がカレッジなので活動や生活の中で現地語を必要としたことはありません)
しかし、首都などの街に比べると村の方に行くと英語が話せない人がいることもあります。
普段の生活の中で親御さんが意識的に英語を使っていたりすると、子どもたちも抵抗なく英語での教科学習に入っていけたりするかもしれませんが、(そうだとしても、同じ英語でも生活言語と学習言語ではやはり感じ方が違うかと思います)そうではない子どもたちからすると、ある日突然学習言語が英語に変わるというのは辛いことだと思います…
学力のことがよく話題に上がりますが、本当にそのトピックを理解できていないのか、それとも英語の意味(文法や単語)が分からなくてその問題が解けないのか、が一つ大きなポイントとなっています。
(どうやら最近公用語が英語であるアフリカ諸国の国々において、現地語で問題を解かせ、学力そのものに問題があるのか英語使用能力に問題があるのか、を解明するためのテストや研究がなされているらしいと聞きました)
今回の教育実習のモニタリングでは、学生の様子を見るだけではなく、気づきを得ることができたことも大きな意義があったと思います。
子どもたちのことを考えたらきちんと英語で授業したいけど、でもそうすると子どもたちは授業内容が理解できなくなる…
これから学生たちが先生になった時、特に村の方の小学校に配属になったら、この先もずっと悩み続けるポイントなのだろうな…と感じます。
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