JICA海外協力隊の世界日記

マレーシア日記・ザ・介護士ともあん

CBIDに感化される

障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会が実現されるなら・・・

障害のある人だけではなく、高齢者、孤立した人、少数民族、性的マイノリティの人たち、みんなみんな尊重されるなら・・・

きっとそれは誰にとっても暮らしやすい社会。

私のように一人っ子で未婚であっても、社会の中で役割をもち、同時に色んな助けを得ながら自分らしく生きられる。

それが今回のタイトルにある、CBID / Community-based Inclusive Development「地域に根ざしたインクルーシブ(包括的な)開発」が目指すところです。

CBID(地域に根ざしたインクルーシブな開発)については、以前から知っていた訳ではなく、マレーシアで活動中の作業療法士、アキラさん(写真右)の活動報告から知ることができました。

ご参考はコチラから↓
告知!「富山県出身のJICA海外協力隊 ネパール・マレーシア 作業療法士活動報告会」 | マレーシア日記・ザ・介護士ともあん(近藤 知子) | JICA海外協力隊の世界日記 https://world-diary.jica.go.jp/kondotomoko/person/post_11.php

ちなみに上の写真のお店は、「世界一静かなスターバックス1号店」で首都クアラルンプールにあります。アキラさんと、隊員で精神保健福祉士のケンシさん(写真左)が、案内してくれた時のもの。静か、なのは聴覚に障がいをお持ちの方が働いておられ、お店で交わされるコミュニケーションは手話や筆談、ボディラングエージだから。注文の列に並ぶ馴染客らしきおじさんが、私に注文方法を教えてくれました。そのようにお客さん同士が関わるのも、私たち3人には楽しい出来事でした。

アキラさんの活動報告から学んだことを反芻していると、上の写真、私の配属先で馴染みの光景がCBID(地域に根ざしたインクルーシブな開発)を表す一コマのように思われました。

なぜなら、

車椅子を押す人にとっては押すことで歩くバランスをとり、いっぽう、車椅子に乗る人は相手の荷物をかわりに持ってあげる。それはCBIDの信念のように、「障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合っている」と言えるでしょう。それぞれ必要なものを自然な形で補い合っています。

つぎに、私自身の日常に置き換え、マイノリティについて考えてみます。

私はこのマレーシアにおいてマレーシア語が母語ではない、というマイノリティなので、不便なことが多々あります。でも幸い周りの人たちは私がマレーシア語をあまり分からない、ということを理解してくれていて、そのうえで分かるように話してくれて、私が聞き返すことを許してくれる。例えば、もし「マレーシア語が上手でないなら、トモコとは友達にならない。」と言われたら、この地域で生きていくにはとても辛い。

母語を話すようにはいかない言葉の不自由さは、マイノリティの経験を私に与えてくれて、周りの人びとの私に対する理解は、CBIDの信念をまるで私に体感させてくれているようです。

CBID / Community-based Inclusive Development(地域に根ざしたインクルーシブな開発)は、物の見方次第で、案外誰にとっても自分のこととして置き換えて考えられるのではないかと思います。それが誰にとっても暮らしやすい地域を目指す第一歩かもしれません。

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