JICA海外協力隊の世界日記

マレーシア日記・ザ・介護士ともあん

世界アルツハイマー月間 その3 エンパワメントとディスエンパワメント

こんにちは!

今月、9月は「世界アルツハイマー月間」で、
毎年9月21日が「世界アルツハイマーの日」です。

ということで、今月は特に認知症ケアや認知症のリスク因子を意識してレクリエーションの企画と実施をしています。

エンパワメント「その人自身の力を最大限に引き出すこと」

一方で、ディスエンパワメントは、「その人自身の持っている力を奪うこと」
介護において、支援を必要とする人びとにやってはいけないことを心に留めることも大事です。介護士として、私には耳の痛い話です。いつも向き合わされます。

レクリエーション その1 コグニサイズ軽体操

エンパワメント:先生を見つけ、おまかせする。その人の親しんだ言葉で。

たまたま居合わせたのは中華系マレーシア人のご高齢者で、私は中国語で1から10まで数えてコグニサイズをしてみました。「コグニサイズー認知症予防へ向けた運動ー」

すると、女性のご高齢者が中国語で指折り数えながら、皆さんに示してくれました。
「你是我的老师」(あなたは私の先生です)
と、私が中国語で彼女にバトンを渡すと、表情が明るくなったのが印象的で、周りの人たちもいっそう活き活きと取り組まれていました。なお、私の発音も直してもらうという特典付き。
展開が、実に面白い!

IMG-20230623-WA0165.jpg

そんな経験を経て、今は、タミール語に親しんでいるご高齢者から、数えられるように毎日教わっています。まずは1から5まで。
また、どうやら、数える時の指折りは、文化によって異なるような気がして、興味をそそられています。

また、別の日には、皆さんと軽体操を一緒にできるようお誘いしました。
すると、あるマレー系で女性のご高齢者が太極拳のポーズを紹介してくれました。
ですから、彼女が体操のCikgu(マレーシア語で「先生」)!
自然と周りの人たちが加わってCikguのポーズを真似していました。もちろん私も!
この展開も面白くって、嬉しくって、忘れられません。

有難いことに、私にはたくさんの先生、Teachers、Cikgu、老师がいます。
右の写真の、マレーシア派遣中隊員で作業療法士のアキラさんもそうです。私にコグニサイズを教えてくれました。

ディスエンパワメント:押しつける、型にはめる

体操のスタイルはその時々で変わるのがいい!
気持ち良く動かないと、結局、体操の効果がありません。
また、興味が逸れたり、疲れが見られたら、まずは一緒にやったことを喜び合います。
おしゃべりや タッピング タッチ など別のことに変更します。なんだって良い!
私はインストラクターではない、という点に留意しています。

レクリエーション その2 色紙ちぎり貼り絵

エンパワメント:丁寧に可能性を探る

貼り絵をしようと、その準備のために、色紙ちぎりから始めました。
指先を細かく使うのが脳には良いものの、実に地味な作業なので、皆さんに無理ないよう始めたところ・・・


人によっては、とても細かくちぎって仕上げる、2,3枚まとめて効率良くちぎる、
複数だと、自然と協力し合って、ちぎる作業に役割が生じるなどありました。
また、めちゃめちゃ喋りながらもちぎるのが異様に速い方もいて、予定より早く終わったのが予想外でした!

名称未設定.png

上の写真では、視覚障がいをお持ちの女性と一緒にちぎっています。
色が見えないことを承知でお誘いしたのですが、快く引き受けてくださり、若い頃は工場で働いていたこと、好きな料理のことなど、ちぎりながら話して下さいました。途中、仕上げ方を私に確認してくださるなど、丁寧なお仕事の様子が見受けられました。


この作業は、おしゃべりしながら、またはお互い黙って黙々とできるのが魅力です。一見地味な作業をしながら、サヤエンドウのスジ取りを思い出しました。

ディスエンパワメント:(予測しすぎて)決めつける、準備しすぎる

やり始めた時は、私があらかじめ細くちぎり、それを渡して細くちぎってもらえるようお願いしていました。
ところが、なかには私の準備の様子を見て、同じようにし始めては、どんどん作業進める方が予想以上におられました。
人生の先輩!身体は覚えている、という認識が私に欠けていたかもしれません。


また、貼り絵の台紙には、絵が書き加えられたりして、それもユニークな創作!
視覚や触覚でもって、その時に集中するのが良いかな、と考えています。


・・・そうして終わった後は、右上の写真のようにコミュニケーションを図ることもあります。
タッピング・タッチ」と言って、指先をトントンと優しく背中などに弾ませるリラクゼーションの一種です。マレーシアのOB隊員から教えてもらいました。

レクリエーションを通して、毎回、ご高齢者皆さんの豊かな表現の世界に出会えて、私は幸せ。

Tichaonana
ショナ語で「また次回に」
JICA二本松訓練所同期隊員のかめちゃん、ことリサさんの「Nzou!Zim毎月号」
から頂戴しました ♪
「協力隊グラフ」、グッと心に沁みました・・・。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ