JICA海外協力隊の世界日記

マレーシア日記・ザ・介護士ともあん

令和5年6月13日(火曜日)の日記

午前10時

Ikhlas、という単語がやっと「誠実」という意味を知る。
耳障りが良い単語だなあ、とずっと思っていた。

午前10時半

5本の指先で優しくとんとんと皮膚上で弾ませると気持ち良い。
これはマレーシアOB隊員から、心身のストレスを和らげる効果があるメソッドとして教わって以来、時々人にやっている。
今日も頼まれてやっていると、それを見た別の人が、「ニワトリがクチバシで突く」と例えた。
なので、私たちは「Urut patok ayam(ニワトリのクチバシ突きマッサージ)」と名付けた。
彼女らの創造性は少女のようにピュアだ。

午後0時半

入居者の昼食後、一人の介護職が、すすんでいつもより丁寧に床掃除をし始めた。
すごく清々しい行いだなあ、と思って一緒にやった。
掃除が終わった時に、
「今朝イスラム教のクラスで、私は誠実について教わった」と私は彼女に言うと、
「どんなことを学んだの?」と、私の語学力では回答しきれない質問を受けた。
なので、
「あなたの行いは誠実な仕事だと思う。・・・言ってる意味合ってるかな?」と、彼女に言うと、
「・・・うん。」
とても良い瞬間だった。

午後2時すぎ

同僚からケダ(マレー半島北部)方言をおそわった。
方言を覚えるのは面白いし、盛り上がる。

午後2時半

施設内をうろうろしながら、出会うご高齢者とあいさつを交わす。
「トモコー」と、
ちょっと遠くから呼ばれるので、目をやると、いつもあいさつを交わすお掃除の職員さんたち。
ベンチに座ってお喋りが始まった。
このようにゆっくり話すのは初めて。彼女達はいつも広い施設内のあちこちをお掃除するのに忙しいから。
「トモコはみんなにあいさつする。それはとても良い。」と言われるから、
「ふつうやん?」と答えた。
でも、
「めったにない。」と彼女らは言い、数々のエピソードを話してくれた。
「わたしら、同じ人間やん?」って言うと、
一人が自分の手を見せて、
「5本の指を見てごらん。長い指があれば、短い指もあるよ。」「それは同じ手に高いと低いがあるっていうこと」
(これ以上詳しいことを述べませんが、きっと皆さんはこの話の意味がお分かりと思います。)

他には、一人がアラブ諸国の各地で暮らしていた時の話をしてくれて、
彼女が嬉しそうに話す様子が見ていて楽しかった。

午後3時

入居者の皆さんが、セラピスト養成校の実習生と揚げ物、チュチョールを作ってた。
チュチョールのタネを油に入れる人、揚がり具合を見る人、ちょっと離れて様子を見る人、人それぞれ自然な役割があって面白い。

午後4時半

外のベンチで、傷病報告書を作る。
とあるご高齢者が通りすがって、久々に会うことができた。彼女は明日厨房の手伝いをすると教えてくれた。
それから彼女は、ふるさとで暮らしていた頃の話をしてくれた。
お隣さんは、子ども達の世話が十分にできなかったので、その人がご飯を作って子ども達に食べさせてあげたり、服を洗濯したり、お世話をしていたそうだ。
家事がとても好きで部屋をきれいにしている、ということで明日お部屋におじゃまする約束をした。

午後5時過ぎ

事務所にある自分のデスクに戻ると、
配属先の施設長が準備してくれたオフィシャル・レターが置かれてあった。
同期隊員の作業療法士と、彼の任地であるサラワク州クチン市にある高齢者入居施設を訪問するための大事なレター。
訪問を実現するために欠かせない重要なステップ。

午後6時

家に着く。

今日は火曜日。
近所でナイト・マーケットがあることを聞いて思い出したので行くことにする。

お世辞にもきれいとは言えないが、住めば都。
私はこの地域での暮らしに愛着がある。

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