2020/03/27 Fri
ブラジル生活 日本語学校
20. 無念の一時帰国
BOA TARDE! (ボア・タルジ:こんにちは!)
ネットニュースにもなっていてご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、この場を借りてご報告します。
世界中に負の影響をもたらしている新型コロナウイルス。この影響で、世界中にいるJICAボランティア全員が日本に一時帰国することになりました。もちろんブラジルも対象です。私たちブラジルの日系社会ボランティアも緊急帰国となりました。
多くのJICAボランティアは発展途上国に派遣されており、日本ほど医療環境が整っていません。そして、国によっては日本人やアジア人への差別などの問題も出てきたそうです。そんな状況でボランティアたちを守るために、全員一時帰国するという指示をJICAから受けました。
通達を受けてから3日後にブラジルを出発し、無事に日本に到着することができました。このような前代未聞の緊急事態。飛行機もどんどんキャンセルになっていく中、100名弱のブラジル隊員たちを帰国させるために必死で対応してくださったJICAスタッフのみなさんには本当に感謝しています。
この記事を書いている今日(25日)から一週間前、まだ帰国することを知りませんでした。まさか、まさかあれから一週間後に日本でこの記事を書くなんて。人生何が起こるか本当にわかりません。。。。
涙を浮かべながら帰国前に歩いた通勤路。
〜嵐のように過ぎた一週間〜
12月頃から中国で始まり、3月に入るまでブラジルには全くと言っていいほどコロナウイルスの影響はなく、日本が大変な事態になっているのをニュースで見て日系人の方たちと心配していました。
そして3月になり、私たちの活動も残り4ヶ月弱。ブラジル生活でできることは全部やりたいなと思って色々企画し、イベントの内容なども決まってきた、、、その数日後。ブラジルへの感染が広がり始め、休校になったり今後のイベントをキャンセルしようという流れに一気に変わり始めました。ついにブラジルにまで影響が出始めた、これからどうなるんだろう?学校が休みになったらどうやって生徒たちが勉強できる環境を作ればいいんだろう?そんなことを考え始め、色々調べているときにたまたまSNSで「JICAボランティア全員一時帰国」という文字を見つけました。
-え?全員?え、どういうこと?
訳がわからずパニック。でも私はまだ連絡は受けていないから本当なのかまだわからない。でももしこれが本当だったらどうしよう。・・・その情報を見てからは、することや見るもの全てが最後かもしれないと思えて、その日は眠れませんでした。
そして後日、正式に一時帰国の連絡を受けました。それからも状況は目紛しく変わり、私は帰国が決まってからわずか3日で出発でした。私たちの任期は今年の7月まで。このタイミングでの一時帰国なので、任期中にブラジルに戻って来られるかはまだわかりませんが、戻らないことを前提に荷物をまとめるように指示を受けたため、覚悟を決めて準備をしました。ここで私たちに変な期待を持たせないために、厳しい現状を伝えてくれたJICAには感謝です。
ほんの4日前まで、生徒たちに「また来週!」と言っていたのに、この数日で学校は休校、さらに私は帰国することに。しかも、このような状況なので生徒たちに直接お礼も別れも伝えることができず。日本人会の人たちにも、7月の帰国までにもっとお話しして、しっかりお礼を伝えようと思っていたのに、イベントもなくなってほとんどの人に会えず。でも、少しでもいいから多くの人にお礼を伝えたくて、いろんな人に連絡して、手紙を書いて、会いに行って、写真を撮って、残った時間で2年分の荷物をまとめて、1日24時間は短すぎると心の底から嘆くほど今までの人生でもっとも慌ただしい3日間を過ごしました。
一週間前までは、まさかこんな事態になるなんて全く想像していなかったし、まさかこんなに早く帰国することになるなんて1ミリも思っていませんでした。私自身この1年9ヶ月間、後悔しないためにできることはしようと行動してきたつもりです。会いたい人にも会える時に会ったつもりです。それでも、この状況は悔しくて悲しくて仕方ありません。誰のせいでもない、この複雑な気持ちをどこにぶつけていいのかわからない、その苦しさで、何をしても涙、誰に会っても涙しました。日本に帰国した今も、現状に気持ちがまだ追いついておらず、複雑な心境です。
これは私だけでなく、他のJICAボランティアみんなが感じていることだと思います。特に、2018年度1次隊のボランティアは残りわずかというところでこの一時帰国、本当に悔しくてつらいはずです。つらいのは一人じゃない、そう自分に言い聞かせると同時に、他のボランティアにもそう思ってもらえる記事になればいいなと思い、書くことにしました。
複雑な気持ちで帰る飛行機の中で、ブラジル生活の写真を見ながら振り返っていました。こんなに気持ちはつらいのに、不思議と思い出すのは楽しかったことばかり。
生徒たちが学校で楽しそうに笑う姿、目を輝かせながら私に日本のことを聞いてくる生徒たち、先生たちといろんなアイデアを出し合った会議、悩みを共有し合ってみんながチームになれた会議、婦人会の人たちと紅白まんじゅうをたくさん丸めたこと、世間話をしながら大量の服を畳んだ婦人会のバザー、焼きそばを売りながら裏でワイワイおしゃべりした日本人会の寄付イベント、みんなが大好きな長時間ビンゴ大会、、、などなど、とにかくいい思い出ばかりです。もちろん残りの4ヶ月でもっといい思い出が増えたはずなのにという悔しさも湧いてきますが、それよりもこんなに幸せな時間を過ごさせてもらえたことに感謝しなければいけないなと思いました。
落ち込んでばかりいないで、日本に帰国した今、そしてこれから、自分が日本にいるからこそできることはなにか?という思考に切り替えて、本来の形とは違えど、7月までの残りの活動を全うしたいと思います。
落ち込む自分を励ましてくれる人たち、何ができるのか一緒に考えようと言ってくれる人たちがいることに心から感謝です。OBRIGADA!(オブリガーダ:ありがとう!)
これからもまだまだ私の世界日記は続きます。
では、また次回をお楽しみに!
ATÉ MAIS!(アテ・マイス:では、また!)
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