JICA海外協力隊の世界日記

音の風景 in Sri Lanka

♪19 合格から帰国までの道のり

アーユボーワン!こんにちは。スリランカ音楽隊員だった久保治代です。

早いもので7月に帰国して半年がたちました。この世界日記も今回を入れてあと2回となり、名残惜しい気持ちでいます。そこで、今回は協力隊に応募してから今日に至るまでのスケジュールを振り返って、まとめとしたいと思います。

かなり文章が長めとなるので、ご興味のある部分だけ読んでくださいね。

その前に、オーケストラに関係する話題を2つご紹介します。

1枚目の写真は、スリランカ教育省30周年祝いのコンサートが1126日(土)コロンボのビシャカ・カレッジで行われ、国立青年オーケストラが演奏した様子です。写真はスリランカ事務所の調整員さんに送っていただきました。練習がいろいろな事情で難しい中、本番まで大変だったと思います。現地で聴けなかったのは残念ですが、このようにボランティアがいない状態でも演奏を続けている姿を見ると、とても嬉しいです。

2枚目の写真は、スリランカ国立青年オーケストラ出身で現在指揮をしている(現在2人が主に指導している)うちの一人が、日本のコンサートで指揮をされた時の様子です。

めぐみさんオケ3.jpg

スリランカ元音楽隊員の佐藤さんたちが日本での活動を支援されていて、コンサートが開催された様子を送ってくださいました。これも1126日(土)です。こちらのオーケストラのメンバーの方が何人かスリランカの方にも指導・演奏のために行かれたそうで、私も任期中にコロンボでお会いしました。このようにずっと交流を続けておられて、素晴らしい取り組みだなと思いました。

それでは、ここからは本題の「合格から帰国までの道のり」についてです。

応募から派遣まで

2018年 

秋募集でやってみたい案件を見つけシニア枠で応募。一度やってみたいと思っていたので思い切って応募しました。南の島で現地の人と一緒に音楽を楽しみたい、役に立ちたいというのが夢でした。

2019年 

1月 

シニアとして受験したので、大阪在住の私は東京ではなく神戸で面接がありました。(結局制度が変わってJOCVとしての派遣になりました。)「活動ではうまく進まないことがあるかと思いますが、そういう時はどうしますか。」というような質問があり、「2年間あるので最初の1年目でじっくり現状を把握して、2年目にちょっとでも分かってもらえればいいかなと思っています。」と答えたように記憶しています。研修が始まるまでの事前研修は私の場合特に指定されていなかったので、楽器の練習に専念していました。

→駒ヶ根

9月~11月 

仕事を退職して駒ヶ根訓練所で研修。トンガ組(スリランカ振替派遣前はトンガ隊員でした)は英語の語学研修でした。慣れない団体生活はいろいろ苦労がありますが、3食付きは本当にありがたかったです。なにより雄大な自然の中でいい空気、いい水ととても健康的な生活でした。また、いろんな出会いがあり貴重な経験ができました。語学研修ではパワーポイントを使って何か話題を見つけてファシリテーション(会議やミーティングを円滑に進める技法)するという課題が出て、何度も経験させてもらいました。準備がとても大変で、寝る時間が減っていきましたが、これがのちのち現地での活動で大変役に立ちました。

訓練所にはグランドピアノ1台とアップライトピアノが1台の計2台ありますが、練習時間が取れなくて、日曜の朝早起きして朝食後に指慣らししていました。また、最後の修了式に隊歌のピアノ伴奏をさせてもらえたのも、いい思い出になりました。このころからトンガの前任者とのメールのやり取りが始まりました。(当時前任者はトンガで活動中)

→トンガ

2020年

1月 

トンガ組は研修後約2か月たってからの出発でした。それまでは自宅待機です。これまた慣れない研修所生活で体調を崩したりしましたが、すぐ隣が活動場所だったので様子を把握するのにちょうどよかったです。歯の詰め物が取れて歯医者さんに診てもらったときは、初めての海外での治療にひやひやしましたが、ちゃんと詰め直してもらえました!

2~3月 

いよいよ活動開始。活動先はトゥポウ高等専門学校(通称TTI)音楽コース。首都ヌクアロファでの活動だったので、自宅・活動場所・研修所・JICA支所・大使館・王宮・ボランティア仲間の自宅等皆徒歩圏または自転車圏内とコンパクトな町でした。だからありがたいことに寂しいと思ったことはありませんでした。夜中に屋根の上に何かが落ちる音がして、よく目が覚めましたが、ヤシの実だったので、さすが南の島!と思いました。

活動先では1週間だけ観察させてもらいましたが、2週目からはフルに授業を受け持ち早くから活動ができました。パンデミックで帰国することになるまでの2か月間、短い期間にいろいろできたことはよかったです。発表の機会も何度かありました。(オーケストラとピアノ)

TTIはITコースもあり学内のオンラインシステムが想像以上に充実していました。学校長や事務からの日々の連絡は、個々人がプラットフォームにアクセスして知るようになっていました。そのため、のちに日本に帰国することになっても、学校のスケジュールや先生方の動向、いつが試験でどんな課題が出されていてといった情報も分かり、遠隔活動のタイミングを計るのに役立ちました。

→日本

4月~ 

コロナ感染拡大の影響で一時帰国。突然に帰国でしかもすぐに戻れると思っていたので、僅かな荷物で帰国しました。家には洗濯物を干したままでした!しばらくは茫然としていて、最後にオーケストラで一緒に練習したカール・ジェンキンスの曲を毎日何十回も聴いていました。

2週間の東京での自主隔離の後、帰阪。東京では、今年は見れないと思っていた桜の開花に間に合いました。その後はオンラインやメールでの活動を細々と続けていました。楽譜を作って送ったり、ピアノや琴の演奏をしてビデオを送ったり。

また、「世界の笑顔プロジェクト」でリクエストしていた寄贈品が届いたので、私は留守ですが調整員さんたちに引き渡して頂きました。結局14か月間、日本からの活動になりました。オンラインの英語研修も活用しました。訓練所でお世話になった先生方にもまた教えていただけたし、活動について報告できたので嬉しかったです。

2021年

3月~ 

スリランカへの振替派遣が決まり嬉しかった半面、トンガの活動先になかなか自分から言い出せませんでした。英語と並行してシンハラ語の語学研修や予防接種の追加など準備が始まりました。

→スリランカ

8月 

スリランカに渡航。その前日まではトンガ隊員で、その日からスリランカ隊員となりました。トンガに着いたときは「楽園に到着した!」という感じでしたが、スリランカは都会でしかもコロナ禍、到着した時は緊張が走りました。一泊二日の隔離を経てコロンボの事務所近くのホテルへ移動。挨拶も早々にいきなりのロックダウンで、日常品の買い出しもままならない状態になりました。ホテルでの1か月はオンラインで事前研修や語学研修の傍ら、スリランカでの活動も開始。並行してトンガに2回目の「世界に笑顔をプロジェクト」の寄贈品が届いたので、それに関連してトンガとも連絡を取っていました。違う国にいながら違う国の活動をするというのも、なかなかない貴重な体験でした。

トンガに置いてきた所持品がスリランカに到着。

9~11月 

バンバラピティヤという海に近い家に引っ越し。大家さんには本当にお世話になりました。しばらくピアノ中心のオンライン指導が続きます。

12月 

国立青年オーケストラの対面練習が始まり、ヴァイオリンの個人指導を中心に担当しました。2年ぶりの練習だったそうです。

クリスマスは日本と同じで、宗教に関係なくイベント的にあちこちでツリーやオーナメントを見かけました。新年の瞬間は、ものすごい爆竹音でした!日本の「ゆく年くる年」のイメージとは全然違いました。

2022年

1月

教員養成養成校での対面授業開始。ずっとオンラインだったので、初めて学生と会ったときはマスクのせいもあり、誰が誰だか分かりませんでした。しかし程なくクラスターが発生し、またオンラインに。

2月

自宅前の道路工事が激しくって、バンバラピティヤの自宅からの出入りが難しくなりボレッラに引っ越し。

3月

感染者数も減り外に出やすくなったので、ゴール、キャンディなど遠方にも出かけて活動。各地でワークショップを開催。

4月

スリランカのお正月は4月の中旬なので、アーユルヴェーダ体験旅行に。手ごわい虫に足の指を刺されましたが、すぐにアーユルヴェーダの薬を塗ってもらって、完治しました。さすが!と思いました。

それから地球ひろばのオンラインイベントで発表。現地から生の声をということで、貴重な経験をさせてもらいました。

またこの月は、国立青年オーケストラ指導者仲間(前述のスリランカ人の指揮者)のオーケストラのコンサートにヴァイオリンで参加。日本から先にご紹介した元音楽隊員の佐藤さん含む4名(ヴァイオリン3名チェロ1名)のプレイヤーが、応援に来られました。

5~6月

社会情勢の変化で、オンラインに戻ったり対面になったりと状況が目まぐるしく変わっていきました。

帰国前の活動報告会がありました。

→日本

7月

無事帰国。当時スリランカはスリランカ人の出国ラッシュで、空港はものすごい混みようでした。(泣)

健康診断、帰国後報告会(オンライン)。

で現在に至ります。

活動については、以前この世界日記で書いた内容と重複するところはだいぶ端折っていますが、大体こんな流れでした。といってもかなり珍しいケースなので、参考にはならないかもしれませんが、これから隊員を目指す方には、少しでも雰囲気を知ってもらえたら嬉しいです。

あっ、それから学生たちのSNSなどを見ると、私が行きたいと思っていた観光地にみんなで行ってきたようです。楽しんでいる様子を見ていいなあ、と思いました。

日本は寒いので、スリランカの生薬入りのお茶を飲みながら書きました。

それでは、今回もお読みいただきありがとうございました。ストゥーティ!

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