JICA海外協力隊の世界日記

音の風景 in Sri Lanka

♪2 活動先のご紹介

アーユボーワン こんにちは!スリランカ音楽隊員の久保治代です。

今回は4つの活動先について簡単にご紹介します。

♪2世界日記写真2.jpg1.国立マハラガマ教員養成校(NCOE)

コロンボ郊外のマハラガマに、教育に関する機関が集まっているところがあります。教育省は別の場所ですが、ここマハラガマには国立教育研修・研究所があり(1枚目の写真)、この敷地内にある教員養成校で週に3日、西洋音楽の授業を担当しています。学生はトレーニング・ティーチャーと呼ばれ、3年間のうち初めの2年間はここで学び,最後の1年間は研修生として地域の学校に配属されて、実際に指導しながら学んでいきます。

キャンパスは広々として、音楽室のそばに女性用の宿舎があるので、毎朝白いサリーに身を包み,別の棟に食事に行ったり朝会を行ったりしています。朝は鳥の声が鳴り響いて、森の中にいるのではないかと錯覚を起こすくらいに静かで、とてもいい環境だと思います。男子学生は白い制服を着用しています。


この養成校は全寮制で、最初の3か月間は家には戻らないというのがルールだそうです。校舎内にはスマートフォンは持ち込まないなど、ほかにもいろいろとルールがあり、このくらいの年代の人には少し厳しいような気もしましたが、週ごとにリーダーを務めるなど、集団生活を通して学ぶことは多いようです。

スリランカでは西洋音楽は必修科目ではなく選択科目のうちの一つで、実技よりも理論に重きを置く傾向があり、そこが日本の教育と大きく違うところです。しかし実技あっての音楽なので、教員の演奏力を高めることが私の活動の目標であり、週3回の授業はすべて実技に関するメニューで行っています。シラバスでは教育方法と理論も含まれますが、私の滞在期間が限られているために、任期中は実技重視で集中して授業を行っています。現在行っているのは、 ピアノ個人指導  リコーダー  ソルフェージュ  合唱 で、その中に指導法や鑑賞も織り交ぜながら、個人の能力の向上と指導力の向上の両面を育てるための授業を組み立てています。

パンデミック等諸事情で2年生はおらず、3年生24名と1年生10名が在籍していますが、3年生は地域の学校で教鞭をとっているため,現在は新入生10名がここで学んでいます。

最近は長時間の停電が多く、学生が練習できるのは電子ピアノなために、十分な練習時間が取れないのが大きな悩みです。校内に2台生ピアノがあるので、それで練習してもいいと校長先生に許可を頂き、新入生10名皆何とか時間を見つけてがんばっています。

この学校では現職教員研修も行います。先日はコロンボとその周辺地区の先生方60名を対象に、2日に分けてジャズのワークショップを行いました。また、来年度シラバス改定が行われるので、その説明会で助言をしたりという活動もしています。

♪2世界日記写真4.jpg2.地域の学校

不定期に地域の学校を訪問し、地元の先生の授業への助言や先生方へのワークショップを行っています。時には宿泊を伴って遠方の学校を訪問したりもします。音楽はグレード6(11歳くらい)からグレード1116歳くらい)までの期間に学習します。スリランカでは男子校と女子高に分かれるのが普通で、そこも日本とは違うところですね。この2年間、パンデミックで休校となりオンライン学習が行われていました。ですので理論等はそれほど遅れはないと思われますが、みんなで歌ったり演奏する機会はほぼありませんでした。もともとあまり実技教育を中心にされていなかったことに加えて、このような状況ですので課題はたくさんありますが、ようやく学校での授業が再開したので、これから頑張ってほしいですね。

このほか、地域の学校に配属されている教員養成校の3年生の授業評価のため、コロンボ市内の各校を週1回程度訪問する予定です。


3.国立青年オーケストラ(NYO)

毎週土曜日の午後、コロンボ中心部にあるロイヤルカレッジ(小中一貫校)で練習を行っています。昨年12月に2年ぶりに練習を再開しました。在籍者は78歳から25歳までの青少年で、総勢100名ほど在籍しているはずですが、感染対策等で半分ずつに出席者を限定したりしてきたので、最近になってようやくフルオーケストラで練習し始めたというところです。再開したてで初心者もいるため、別グループでヴァイオリンを中心に弦楽器の個人指導をするのが、私の主な役割です。この子たちが早く上手になって、オーケストラに加わることができたらいいなと願っています。

4.教育省

スリランカの首都はコロンボに近いスリ・ジャヤワルナダプラ・コッテと大変長い名前です。私はこの中の、イスルパヤというところにある教育省の情操教育局西洋音楽部門に配属されています。とはいっても、大半は教育現場にいるのでめったにこちらを訪問することはありませんが、時間があるときにはカウンターパートと新しいシラバスや教育観についてお互いの意見を出し合ったりしています。日本の学習指導要領に当たるシラバスが来年度から改定するので、そのことについてシラバス作成チームの話し合いがありますが、感染症対策でオンライン会議が続いています。

以上が私の活動先のご紹介です。活動場所が数か所に分かれているので、大まかなお知らせとなっていますが、また機会があればそれぞれの場所での活動をもう少し詳しくお伝えできたらと思っています。

なお、活動言語はシンハラ語ということでしたが、スリランカでの西洋音楽科は国際理解の一面も担っているので、基本英語で授業が行われていて、私も英語で活動を行っています。現在作成している教科書もすべて英語ですので、スリランカの西洋音楽教員は英語力も求められます。

2023年度と2024年度にスリランカの学校で初めて西洋音楽科の教科書が生徒一人一人に配布される予定です。現在スリランカは新型コロナのほかにも国の事情で様々な問題に直面していますが、既に刷り上がっている学年の教科書もあり、来年度の配布を目標にされています。そんな新しい試みに参加できたことがとても貴重で嬉しく思っています。

それではまた次回お会いしましょう!

お読みいただきありがとうございました。

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