JICA海外協力隊の世界日記

タラワの宝

野菜がない?!キリバス買い物事情

今回は、私が活動するキリバスの首都、南タラワでの買い物事情についてお伝えします。この写真は、とある日のスーパーの冷蔵庫です。ご覧の通り、空っぽです。日本では、このような状態になる前に商品が補充されるところですが、ここでは一度品切れになるとしばらくは入荷されません。どうしてでしょうか?

その理由は、キリバスでは国内での食糧生産がほとんどなされていないことが挙げられます。また、この国が海外のどの国からも遠く、交通の不便な場所に位置しているからです。南タラワ島を始めとしたキリバスの島々に物資を運ぶには、主に飛行機と船が利用されます。たくさんのものを一度に低コストで仕入れるとなれば、コンテナ船による運搬という手段が使われますが、天候などによる運航スケジュールの遅延により、長期間にわたって船が入って来ない場合があります。上にご紹介したようにスーパに行っても生鮮食品が手に入らないという状況は、このような背景で起こっています。

また、コンテナ船で輸入された野菜や果物は全体としてとても価格が高く、購入するのを思わずためらってしまうほどです。写真は、先日思い切ってキャベツを購入したとき、記念として撮影したものです。一つ約2.5kgと日本の一般的なキャベツよりもやや大きいものの、その値段は21豪ドル。日本円にすると、約1,500円もします。どのような人がこのキャベツを買うのかと思い、スーパーでしばらく観察していたところ、レストランやホテルの買い出しで来た人や、海外から仕事できている外国人などが主でした。中にはキリバスの一般家庭の人もいましたが、話を聞いてみると、何か特別な機会を祝うパーティーのためにキャベツを買おうとしているようでした。

野菜が輸入されてもすぐに売り切れてしまうということ、そして値段が高いということが、キリバスの人たちが野菜不足になってしまう一つの要因なのだと、これまで現地で暮らしてきて実感しています。しかし近年、海外からの支援もあり、自分の庭や教会の敷地で野菜を育てて売る人が増えているといいます。それは、通勤中のバスの窓から見ても、「おっ、ここも最近野菜を植え始めたのか!」と、新たに野菜作りにチャレンジしている人の存在に気付くほどです。

このようなよい流れの中、「輸入ものもいいけれど、やっぱり自分たちで作った野菜が安くておいしいよね!」と多くの人に感じてもらえるよう、有機ごみを利用したコンポストづくりの普及や、ミニマーケットの定期開催を通じてお手伝いを続けていければなと日々感じています。

(おわり)

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