2020/06/05 Fri
活動 隊員紹介
続☆家庭菜園のすすめ
柳沢隊員より執筆いただきました。
Bula☆ 今回記事を書かせて頂くのは、熊井隊員と同じフィジー派遣、栄養士の柳沢です。今回は前回の記事に続き、家庭菜園の普及について私の職場で行っている活動を紹介させて頂きます!
〈プロフィール〉
- 名前:柳沢 あゆみ(写真はJICAのナショナルスタッフと歓迎会のカバセレモニーで)
- 出身:長野県
- 隊次:2019年度2次隊(2020年1月~2022年1月)
- 配属先:Diet and Nutrition Unit of Public Health at the Wellness Center (National Food and Nutrition Center : NFNC)
〈職場紹介〉
職場はフィジーの首都にある保健省の食料栄養課です。通称NFNCはフィジーの栄養関連機関の中枢機関であり、フィジー全体の栄養政策の実施・浸透を担っています。主な仕事は、国の栄養施策の作成、国民の栄養摂取量の調査、栄養やガーデニングに関するリーフレットやパンフレットの作成、ワークショップの開催や栄養に関する国際記念日などのイベントの実施などなどです。また職場には栄養の専門家だけでなく、農業の専門家もおり、国民の健康に向け、栄養(食育)と農業(家庭菜園)の両面からアプローチを行っています。
〈活動紹介〉
家庭菜園の普及に向け、具体的に3つの活動がありました。
1 将来栄養士になる大学生や保健機関で働く若者へ家庭菜園の講義
講義では家庭菜園の意義、土や肥料(コンポスト)の作り方、野菜の植え付け時期、害虫対策など家庭菜園の基礎知識を座学と実技で教えます。学生達はとても熱心に講義を聞いており、私も学生に戻ったような新鮮な気持ちで、裏方をやりながら講義を聞きます。
ちなみに、日本の栄養士養成課程では家庭菜園など農業を学ぶ機会はありません。しかし農業と食物や栄養は密接な結びつきがあり、フィジーの栄養士のカリキュラムは食をより大きく考えられる内容になっていると思いました。
2 スマホアプリ My Kana のプロモーションイベント
My KanaはUSP (University of South Pacific: 南太平洋大学. 大洋州各国の出資金で設立された地域総合大学) と共同開発した食事管理と家庭菜園を手助けするスマホアプリです(Google Play storeから入手可。https://play.google.com/store/apps/details?id=fj.rttechs.usp.kakana&hl=ja )。その日に食べた食事や飲んだ水の量を入力するとバランスをチェックしてくれ、アドバイスもくれます。また同じアプリで家庭菜園の記録も付けることができ、家庭菜園の基礎知識やフィジーで育てられる野菜の栽培方法の資料も見ることが出来ます。
このアプリの普及のため、様々なコミュニティに赴き、アプリの使い方を説明し、同時に家庭菜園普及のため野菜のタネを配る活動も行っています。この活動のおかげで、首都以外の地域にも行くことができ、そこでの人々の生活を学ぶことが出来ました。
3 職場の敷地内にあるモデル菜園での試験栽培
職場には試験栽培用の畑と苗を育てる作業場があります。畑には人参やとうもろこし、なすなどの野菜の他に様々なハーブが育てられています。これらは、講義の際に使用したり、イベントの参加者に配られます。私も配布用のトマトやきゅうり、豆(long beans, french beans, butter beansなどがよく食べられています。見た目はさやいんげんに似ています)などの苗の用意をしました。
〈コンポスト〉
私が家庭菜園普及の活動に携わる中で、一番興味を持ったのはコンポストです。土の中の微生物により、集めた生ゴミや落ち葉が「たい肥」になったものをコンポストと言います。コンポストを作ることで、ゴミの削減(再利用)ができ、かつ、栄養豊富なたい肥を自作できるため、私の職場でもコンポスト作りを推進しています。私の実家では、自宅から出た生ゴミを片っ端から使用し、コンポスト作りをしているのですが、質の良いコンポストを作るためには、材料として入れて良いもの、悪いもの、また材料の配合があります!
まずコンポストの材料を上の表のようにGreenとBrownの材料に分け、それぞれの色ごと、Green層とBrown層を交互に堆積させていきます。この時、Green層:Brown層=1:2がベストの配合です。下の図は材料を積み上げてできた層のイメージです。
このように層を重ねていくと、3か月程度で質の良いコンポストが完成します。自宅の生ゴミをただ入れれば自然にコンポストが出来ると思っていましたが、結構奥が深くてびっくりしました。
〈最後に〉
今回コロナの世界的パンデミックを受け、フィジーに滞在2か月、そのうち活動したのは1か月という早さでの帰国となりました。Stay Home中には貿易をストップさせてしまうことで食料自給率が低い日本やフィジーは今後食料不足に陥るのではないかと考えてしまうこともありました。その時に、自国の農業の大切さを身に染みて感じることが出来ました。
(トップ画像は我が家のコンポストビンです)
柳沢隊員、ご寄稿いただきありがとうございました。
6月5日は、世界環境デー(World Environment Day)です。
日本では、6月を環境月間としています。また、食育月間でもあります。
この記事を読んでくださった方が、環境や食について考える機会につながったら、とても嬉しいです。
Thank you for your continued support.
Vinaka.
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