JICA海外協力隊の世界日記

ブラジル南部のどさんこ日記

寄付や動物愛がとにかくすごい 災害を通じて知ったブラジルの助け合いの心

Bom dia, もう日本での報道は少なくなってしまったかと思いますが…

今日は配属地・ブラジル南部のリオ・グランデ・ド・スール州を襲った大洪水大害で感じた”助け合い精神”について紹介します。

洪水により、5月25日時点で約5万5700人が避難所にいます。ピーク時(5月12日)の約8万1100人よりは減りましたが、まだ多くの人々が避難生活を送っています。親戚や友人宅に身を寄せている人も多く、避難者全体では約58万1600人に上ります。

5月初旬の洪水発生から冠水が続いていましたが、やっと一部地域で水が引いてきました。浸水した家の掃除も始まりました。

私が災害発生当初から感じていたのはブラジル人の”助け合い精神”です。北海道の新聞社で働いていたころに胆振東部地震(2018年)に被災し、その他にも東日本大震災や熊本地震の災害復興取材を行いました。

ただ、こうして一市民として、外国人として目の当たりにするのは初めてです。災害に慣れていない現地の方々はどう行動するんだろう?大丈夫なのかな?と少し心配でした。

最初に驚いたのは避難所が開設されるやいなや直ぐに、支援物資を買い求める市民の姿があったことです。近くのスーパーではたくさんの人がカートにパスタソースやソーセージ、パンを大量に買って寄付にする姿を見ました。(ブラジルではホームレス支援の際にも、ソーセージやパンを買ってホットドッグにして提供するのが一般的です)

そして近くの避難所として開設された教会でも、車からトイレットペーパーや食糧を下ろして運ぶ姿が…。個人でできることをしようとする姿が印象的でした。

また、寄付もあちこちで始まりました。メールやSNSを通じて、それぞれの学校や企業が寄付を集めてボランティアをしようと呼びかけ始めました。

そして家を失った人が個人で寄付を募る、クラウドファウンディングのページも多く見かけました。日本ではなかなかない姿だな、と思うと同時に、ブラジルではPIXという振り込みが簡単な電子決済が普及しているので容易に振り込むことができます。こうして離れていても直接支援ができるというのは良いことだと思いました。

上の画像は、配属地の日系コミュニティを中心に構成する日本祭り運営委員会が始めた、災害支援活動を呼びかけるチラシです。

PIXを通じて口座にお金が振り込まれ、日本円で120万円以上の善意が寄せられました。このお金のほか、食料や清掃用品などの支援物資も集まり、運営委員やボランティアの手で避難所に運ばれたり、寄付金で必要な物資を購入することができました。

こうした民間の動きがとても早く、災害には慣れていない国民性ではありますが”何か力になりたい”という思いが原動力になっている気がしました。いつも月末には「お金がない」と言っている大学生たちも「寄付しなくては!」と話していて、少し心配になりつつも、自分たちのことよりも被災者の力になりたいという思いを感じました。

また、飲食店も客足減で経営が危ぶまれる中、食事を作って避難所に差し入れる姿も。一番上の画像が避難所への差し入れのお寿司です。

もうひとつ感じたのは動物愛護精神です。

これは普段からも捨て猫がいたら拡散したり、ペットの病気を治すお金がなければ寄付を募ったりする様子をさまざまな場面で見てきました。

今回も例外ではなく、上の画像のような動物の受け入れ可能な避難所の紹介だったり、飼い主と離れ離れになってしまったと思われる(首輪が付いているので)ペットの飼い主探しをSNSを通じて呼びかけるなど、動物への慈しみ精神を感じました。

ブラジルはショッピングセンターの中も動物同伴OKなので、日常生活から日本とは違うなあと思います。

一方で、現地では災害の混乱に乗じた強盗や空き巣なども増えてきています。災害で経済も大ダメージを受け、治安悪化も心配されますが…温かい心を持つ人はその何十倍もいます。災害発生から1ヶ月が経ち、気を張り続けている現地の人々の体調が心配です。

ひとつひとつ、私も支援できることをしていきたいと思います。

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