JICA海外協力隊の世界日記

ブラジル日系社会からの通信

中南米日系農業者研修への参加

農業・食産業分野に係わる専門家派遣研修(サンゴタルド研修プログラム)

中央開発株式会社(CKC)のブラジル事務所による、中南米日系農業者研修(日本の農林水産省の委託事業)がブラジルで行われ、これへの参加と講演の依頼があったので11月10日から14日まで参加しました。

今回の日系農業の研修生は、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、ボリビア、パラグアイの穀物、果樹、野菜、花卉、の生産者と魚の養殖者などでした。

場所は、不毛の大地と呼ばれていたブラジル中部セラード地域を日本の国際協力機構JICA主導で開発が行われ、世界の穀倉地帯に変えたミナス・ジェライス州のサンゴタルドで行われました。

このセラード開発が始まった1970年代からその当時ブラジル各地に移民して農業をしていた日系の人達がこの地域に集り大規模農業を始めました。今回の研修で訪問した2つの農業協同組合COOPADAPとCOOPACER、そして6つの農業生産者グループはいずれも日系人によって経営されていました。各農業生産者グループは地域の農業者たちが共同でグループを作り農業生産に必要な、各種機械、各種材料などの共同使用を行い、効率的な運営を行っていました。

集荷センターでのニンジン出荷場

例えば、今回研修で訪問したSHIMADAグループは、農地面積4000ヘクタールで私が住んでいる茅ヶ崎市の面積3571ヘクタール以上の広さで、従業員が800人と大きな農業グループです。ここではニンジン、ニンニク、ビート、ジャガイモ、野菜、トウモロコシ、コーヒー、ブルーベリーなどの栽培を行っています。また、集荷センターがありそこでは多くの従業員が洗浄、選別、梱包、出荷などの作業を行っています。

いずれのグループも6次産業(注)の模範となるような生産者グループでした。

(注:6次産業):農畜産物、水産物の生産だけでなく食品加工(第二次産業)、流通販売(第三次産業)にも農業者が主体的かつ総合的に関わる。

生産から出荷・販売までの各プロセスで生産性の高い、良い品質管理が行われていました。また、循環型農業、灌漑設備、各種機械の導入、土壌の微生物分析などの実験室、実験農場など研修生にとって非常に良い研修になったものと思います。研修生たちは訪問した先々で、色々質問しながら理解しようとしていました。今回訪問させていただいた経験を、研修生が今後の自分の仕事に生かしていくことを期待したいと思います。

私の講演

現地訪問を終えた後、私の講演です。「カイゼン活動の農業分野への導入」

のタイトルで講演しました。参加者は今回の研修生とサンゴタルド現地訪問先の関係者の人たちが参加しました。

日本の製造現場から始まった「品質・生産性向上」活動のカイゼンは現在全世界に広まり、あらゆる産業の中でこの活動が行われている。数年前からこのカイゼン活動は農業分野へも広まってきている。

カイゼン活動の目的は「カイゼン活動をし、従業員を育成すること」である。その結果、高い品質、高い生産性(低コスト)の生産物を市場へ提供していく。全従業員が3-5人でQCサークルチームを作り、そのチームが自分たちの工程で問題を発見しカイゼンを実行していく。

この講演では、私が現在活動している南マット・グロッソ農業協同組合COPASULの事例を使いながらカイゼン活動の内容を紹介し、また今回訪問したサンゴタルドの農業協同組合や各農業者グループの現場写真などを使いながら、参加者と一緒にカイゼンについての意見交換も実施した。

今後6次産業で成功を勝ち取るには、このカイゼン活動を通して人の育成をしていくことが重要になってきます。研修生や参加された農業協同組合、各農業生産者グループで理解され実行されていくことを期待します。

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