JICA海外協力隊の世界日記

モロッコより〜ミントティーとまったり日記〜

お別れ

 昨年度は8名の子どもたちが通った難聴学級。 そのうちの女の子が一人、今年度から通常学級へ転籍することになりました。 モロッコ人の担任教師は、この支援学級では「子どもたちが通常学級に戻れること」を目的としているんだよ、と言っていました。

 難聴の子どもたちは、難聴学級を卒業したり、学習支援・職業訓練をしてくれるNPOなどに通ったりしてから、難聴の人たち向けの求人が集まる施設へ行き、就職活動をして就職するのが大体の流れだそうです。

時々学級にあいさつに来る卒業生は、理容や縫製などの仕事に就いている方が多い印象です。 データを見たわけではなく、肌感覚でしかないのですが、通常学級でないと、なかなか高校や大学に進学するのが難しい現状なのかなぁと感じます。

 さて、転籍したこの女の子、10歳ですが、私にとってはお母さんのような存在でした。 …私のほうがずいぶん長く生きているのに、「お母さん」は変かもしれませんが(笑)、イスラムの女性として、彼女はとても素敵な子です。

イスラムの女性が頭に巻くヒジャブ。私ははじめ、うまく巻けませんでした。巻き方がおかしい日は、「座って!直してあげるから!」と、背伸びしながら丁寧に巻き直してくれました。 乾燥していたためリップクリームを塗り直すと、「お化粧は家で、人に見えない所でしないと」とたしなめられたことも。

家族と離れて暮らしていると話した日は、「さみしいね。でも、アッラー(神)はいつでも見てくださるから、大丈夫。明日お菓子持ってきてあげる!」と癒してくれました。

自分より小さな女の子には、お姉さんのように教えてあげる場面もあり、色んな年齢の子が過ごす支援学級の良さを感じさせてくれました。

 国も、聴覚障害者の教育機会均等に向けて動いています。 モロッコでは昨年度から、バカロレアで聴覚障害者への特別措置がとられるようになりました。 これは、高校卒業および大学進学への大きな一歩だと思います。

難聴学級でも、通常学級の教育と同水準を目指して、工夫された学習指導を行なっている先生方がたくさんいます。

その情熱的な姿を見て、学ぶところがたくさんあると感じます。

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