2019/10/23 Wed
活動
17年ぶりの再会


私は平成12年度1次隊の理数科教師としてマーシャル諸島共和国の高校で2年間活動したことがあります。マーシャル諸島とミクロネシア連邦は隣の国にあるものの、現在の活動先であるポンペイ州からマーシャル諸島の首都マジュロまでは飛行機で5時間ほどかかります。しかし、せっかく2度目のJICAボランティアの赴任先が隣の国同士になった偶然を逃してはもったいないと思い、活動先から1週間の休暇をいただきマジュロを訪れてみることにしました。


マジュロ到着後、その偶然はすぐに訪れました。夕食のために宿泊先のホテルのレストランを訪れたところ、一人の女性とすれ違いました。その時に、私はすぐに17年前に私の数学の授業を受けていた生徒の一人であるような気がしました。しかし、確信が持てません。私たちのテーブルから少し離れた席で、その女性は友人たちと食事を楽しんでいるようでした。妻にそのことを話すと「17年前に高校生ということは、現在は35歳ぐらいのはず。その割には20代前半に見えるけど…」と言われて、さらに確信が揺らぎだしました。しかしここで声をかけなければ後悔する気がしたので勇気を出して話しかけてみました。すると彼女はすぐに私のことに気づき、「私が高校生の時に数学を教えてくれたマサですよね。」と私のニックネームまでちゃんと覚えていてくれました。現在、彼女は日本でいうところの厚生労働省のような組織で、公務員としてマーシャル国民のために働きながら、ニュージーランドの大学院で会計学の修士号取得を目指しているとのことでした。


2000年7月、今から19年前の私は教員経験が全く無い状態でいきなりマーシャル諸島の高校の教壇に立ち、1日に数学5時間と物理1時間の授業こなし、放課後から夜にかけても次の授業の教材研究で日々精いっぱいでした。比較的、年齢の近かった生徒たちとは仲良く遊んだこともケンカしたこともありました。マーシャルでの楽しかった2年間は貴重な経験となったものの、自分の無力さを痛感した2年間でもありました。その時に感じた不完全燃焼のような気持ちが、現在のシニア海外ボランティア参加へのきっかけともなりました。この日のかつての教え子との偶然の再会は、これまでの青年海外協力隊への参加から今日に至るまでの、すべての自分の選択を肯定してくれるような、とてもうれしい再会でした。私のシニア海外ボランティアとしての任期はあと5ヶ月ほどですが、いつかまた3回目のJICAボランティアへの参加も視野に入ってきました。
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