JICA海外協力隊の世界日記

太陽と海と雨の島

暗算オリンピックとの様々な不思議

 12月5日にミクロネシア連邦のポンペイ州で暗算オリンピック(Mental Math Competition)が開催されました。暗算オリンピックは以前の記事でも紹介させていただきましたが、ポンペイ州の各小学校5年生と7年生の中から一番優秀な子供が学校を代表し、暗算の能力を競う大会です。昨年度は年度末の5月に開催されていたものが、今年度は12月に開催されています。その中でいくつか不思議なことがあったので紹介します。

 暗算オリンピックはポンペイ州教育局を会場に開催されると聞いていたのですが、当日の朝に確認をしてみると、私が担当する会場は他の政府機関の建物になっていました。他の職員と一緒に車で会場に向かいましたが、出発する時間がぎりぎりになってしまって試験開始時間を気にしてやきもきしていたのは、いつも通り私一人でした。試験開始の時間になっても受験予定者の4分の1ほどの子供しか集まりませんでした。カウンターパートから「私たちにとって時間は重要ではない」との言葉を聞いたとき、彼女が哲学者に見えました。(結果的に試験開始時間を45分すぎて到着した子供が2位となり、彼女の言葉を裏付けるものになりました) 受験者の持ち物である鉛筆は、筆箱に入れてくる子は全く見かけず、むき出しのまま手に持つか、頭に刺していました。開催要項は前回とほとんど変わっていないにも関わらず、競技方法に大幅な変更があることを競技開始直前に知りました。前回は、試験官が口頭で出題したものに対して、受験者は10秒以内に解答用紙に書き込むことになっていました。しかし、今回はさらに解答の速さを競うために、解答できた者から起立をし、担当者3名で手分けしてその起立した順位を確認し、正しい答えをより早く解答した上位3名にだけポイントを与えるということになっていました。わずか3名の職員で、25名の子供たちの起立する順位を正確に把握することは難しいのではと直感的に感じましたが、そのルールを変更する時間はもう残されていませんでした。試験が始まると案の定、ほぼ同時に起立していく子供たちの順位を把握することは難しく少し混乱しましたが、私を含めた担当者3名で何とか工夫をしながら20題の問題を終えることが出来ました。試験中の順位を確定する作業は大変ではありましたが、子供たちの表情はとてもさわやかで、勝って喜び負けて悔しがるという、競い合う楽しさを経験できたようでした。

 試験後にすぐにオフィスで反省会が開かれ、その中の多くの意見は起立の順位をつけることがむずかしいとのことでした。しかし、私は競い合うことで得られる楽しみはとても良い経験であるので、是非何とか工夫をして次回も実施してほしいと発言しました。ビデオカメラの録画やクイズ番組の早押しボタンの導入などの意見もありましたが、それらはなかなか難しいと思います。予選と本選に分けて実施をし、人数を数名に絞った本選においてのみ解答の速さを競うことがいいとの意見が出て、私もこれが一番現実的な方法ではないかと思いました。

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