JICA海外協力隊の世界日記

太陽と海と雨の島

数学オリンピック地区予選

 今日はポンペイ島内の4つの学校を会場として、数学オリンピック地区予選が開催されました。私は教育局から車で1時間ほどかかる学校で、試験監督をしてきました。各小学校の4年生、6年生、8年生の中から優秀な子供たちが2名選出され、学校を代表して数学の能力を競い合います。私が訪れた学校では7つの小学校から42名の子供たちが集まっていました。

 私はこれまで4回、数学オリンピック関係のイベントに関わってきました。これまでは時間通りに試験が開始されることはありませんでしたが、この日は初めて参加者全員が時間通りに会場に集まり、予定通りに実施することができました。しかし、試験会場があまりに狭かったため、急遽4年生の子供たちは図書館に移動することになりました。

 日本では大学入試改革がニュースになり、その一つの論点の中に公平性が取り上げられています。今日は8年生の試験終了間際に、公平性について考えさせられる出来事がありました。試験終了2分前になったとき、ほとんどの子供たちは問題を解き終えていましたが、5名ほどの生徒がまだ熱心に問題に取り組んでいました。その時に一緒に試験監督をしていた教育局の職員が、「この生徒たちはとても一生懸命問題に取り組んでいるので、ぜひ彼らにすべての問題に挑戦させるチャンスを与えたい」と言ってきました。私は彼の意見と全く同じですぐに同意し、試験時間を3分ほど延長しました。時間的な公平の観点でいえば、当然決められた時間内に解き終わることが重要ではありますが、生徒たちの持っている能力を十分に引き出す機会の公平という視点で見れば、私たちのとっさの行動は間違いではないように感じました。子供のことを第一に考えての、心優しいポンペイの人々を象徴するような出来事でした。

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