JICA海外協力隊の世界日記

太陽と海と雨の島

スパニッシュウォール

 私は大きな樹木が好きです。数十年から数百年かけて成長したと思わる樹木は、私たち人類が知らない過去の歴史も、その成長とともに歩んできているという事実は、想像しただけでなんだかワクワクします。ポンペイ島内にはいくつもの巨大な樹木を目にすることが出来ます。その中のお気に入りの一つはスパニッシュウォールという公園の中にある樹木です。1887年、強制労働等のスペインの統治方法に不満を持つポンペイの人々が反乱を起こして政府の施設を襲い、多くの人々の命が失われました。その時のスペイン政府が、襲撃からスペインの人々と施設を守るために築かれた壁はスパニッシュウォールと呼ばれて残っており、現在は公園と野球場として利用されています。

 このスパニッシュウォールにあるこの巨大な樹木は、南国の強い日差しから人々を守り、のんびりと時間を贅沢に味わう場所を提供しています。また、最近公園としての整備が進み、遊具やトイレなども設備され、より人々が楽しめる場所になりつつあります。6歳の娘はこのスパニッシュウォールで遊ぶのが大好きです。ポンペイ島内で公園らしきものはここだけなので、休日にはたくさんの子供が集まってきます。たくさんのお友達と遊具で遊んでいるときなどは、どれが自分の娘なのかわからなくなってしまうほど現地の子供たちにとけこんでいます。この公園のおかげで恥ずかしがり屋だった娘も、もう初対面の子供であっても全く関係なく一緒に遊ぶことが出来るようになりました。

 約130年前の悲しい出来事から始まったスパニッシュウォールも、現在は人々が集う憩いの場所となりました。ひょっとしたらこの樹木はその当時から、激しい時代の変化を見つめながらそこに存在してきたのかもしれないと考えたとき、なんだか不思議な気持ちになります。

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