2024/04/23 Tue
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【茶花は足で生ける】アマンバイ前編 国境の町で千利休を思う
首都アスンシオンから北東へ452km、車でおよそ7時間のアマンバイ県ペトロ・ファン・カバリェリョ市に行ってきました。アマンバイ山脈の高原にあり、標高が670mと、国内で最も高い所にある都市です。ブラジル国境に位置し、地元の人たちは通勤・通学、買い物、食事等で道路を1本越えて、日常的にブラジルとパラグアイを行き来しています。
犯罪率が比較的高い地域のため、安全への配慮からJICA隊員の活動はしばらくストップしていましたが、約5年ぶりにJICA事務所の調整員さんといっしょに公用車で訪問できることになりました。
アマンバイ県の日本人文化協会の皆さま、たいへんお待たせいたしました。ずっと待っていてくださってありがとうございます。
今回の目的は、アマンバイ県の日本人文化協会が主催する『日本人祭』で「茶花と生け花の展示」、「ゆかた着付けショー」、そして祭り翌日に婦人部の皆さんへ「ゆかた着付け講習会」を行うことです。
到着後、早速活動をスタートします!
事前に「花器が足りないので、代わりになる物を教えてください」と質問を受け、写真を添えたお返事を送ったのですが、写真にそっくりな竹製の花器をたくさん作ってくださっていました。ありがたいお心遣いに感謝です。
夜のお祭りまでに茶花と生け花の展示が間に合うよう、花器の数・大きさ・色合いを確認し、婦人部長さんといっしょに花材集めに出発しました。
先ず、園芸店や儀式用切り花の店舗を何件か見て回ります。様々な色の切り花はありましたが、枝や葉がありません。そこで部長さんの心当たりの公園、空き地、街路樹を車でグルグル回りました。2人でゆっくりと左右に目を凝らしながら、、、
花材になりそうな植物を見つけるたびに、一軒一軒のお宅の呼び鈴をならし、住人に声を掛け、許可を得てから枝葉をいただくということを繰り返しました。町中の道は殆ど走行したのではないかと思うほど探しました。
最後に部長さんのご自宅にまでお邪魔し、ご家族が大切に育てていらっしゃる美しい花々や枝葉を頂戴し、とうとう車の後部座席が季節の植物でいっぱいになりました。
さあ、急いで祭り会場に戻りましょう!
祭りが始まるまでに展示終えなくては、、、どうか間に合いますように、、、、
精神を集中させ基本に則って、時には心を解放させて自由に花と向き合い、花と会話し、葉の声に耳を傾け、枝の描く直線や曲線を楽しみながら、、、、
特に茶花は、自然の風情を尊重し、季節ごとに自生する野草を投げ入れることを大事にします。茶席では亭主の客への思いを茶花に込めます。
自ら野に足で赴き、探し当てた草花こそがもてなしの心そのものという、古(いにしえ)の利休の教えに思いをはせながら、、、
時々、この枝は2階の窓から笑顔で「いいよ、好きなの持ってって」と言ってくださったご婦人から頂いたものだったなぁ、などと少し前の大変だったけどなんだか楽しい時間を思い出したりしながら、、、
長いような短いような時間が経過し、最後の器を展示場所に運び終えました。外は夕暮れです。
良かった~、まだ少し明るい! なんとか間に合ったようです。
「花を探しに行ってから、展示を終えるまで4時間かかかりましたね」って、調整員さんから伝えられた時は、「えっ、そんなに⁈」と、自分でもビックリです。すっかり皆様に、ご心配とご面倒をおかけしてしまいましたね。
婦人部長さん、たくさんの植物を一緒に探していただいたこと、決して忘れません。きれいな車の中を植物でいっぱいにしてしまって申し訳ありませんでした。
4時間も草花と向き合えるなんて、ほんとうに素敵な活動をさせていただきありがとうございました。
とても幸せで楽しい、夢のような時間でした。
次回はぜひ、皆さんのご自宅や、近所に生えている花材を持ち寄っていただき、いっしょに生けましょう。そして楽しく幸せな時間を共に過ごさせてくださいね。
楽しみにしています!
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