2021/02/04 Thu
パラグアイと十勝の共通点
私たちの「イタプア県における小規模酪農家強化プロジェクト(FOPROLEI)」は、
北海道・十勝にある帯広畜産大学とJICAの連携事業で、
在学生・卒業生がJICAボランティアとして派遣され、活動しています。
森松隊員も私ももちろん同大学の卒業生で、十勝・帯広は学生時代の4年間を過ごしたなじみの深い土地です。
パラグアイの主要産業は農業です。
活動の拠点である任地カルメン・デル・パラナ市も、すこし町から外れると広大な畑や放牧地が広がります。
その景色に、しばしば
「おお!!十勝みたいだ!!」
と感動していました。
大豆やトウモロコシなど植えてある作物の種類まで同じで、
十勝と違うのは気候(寒くなりますが氷点下にはなりませんし、雪も降りません)と
土の色くらいでは?と思うほど、そっくりなのです。
今日は、そんなパラグアイと十勝の共通点について紹介します。
その前に、パラグアイの食事のスタイルを説明する必要があります。
パラグアイ料理は、前回すこしご紹介した通り、オーブンや鍋で大量に作ってみんなで分ける大皿料理が多いです。
なぜ大皿で取り分ける料理が多いのか?
酪農家さんに昼食をお呼ばれした際に教えていただきました。
イタプア県は特に移民が多い県といわれていて、
ドイツやウクライナ、ポーランド系など様々な出身の人々が住んでいます。日系移住地も2市存在します。
移住当初は、ほとんど人の手が加えられたことのない原生林のような土地を開拓するところから始まりました。
もちろん、自分たちの生活を豊かにするためには、入植者達は家族総出で朝から晩まで働かなければなりませんでした。
したがって調理の手間が少ない、鍋で煮込むだけ、窯やオーブンで焼くだけ、の料理が多くなったと言われています。
なるほど、と思うと同時に、ある俳句を思い出しました。
「開墾のはじめは豚とひとつ鍋」
十勝・帯広の開拓の祖ともいわれる、依田勉三が詠んだ俳句です
句に出てくる「ひとつ鍋」は帯広に本社を置く、バターサンドが有名な製菓会社の商品にもなっています。
お鍋の形をしたもなかに餡と求肥が入っていて大満足の、おいしいお菓子です。
開墾の初めの頃は食べ物にも困り、野菜などを鍋で煮たものを食べるしかなかったが、
同じものを豚の餌とした(人も豚と同じものを食べざるを得なかった)、という非常に厳しい環境から生まれた句だそうです。
パラグアイも北海道も、先人の開拓の努力の末に今があるのだなあと、一人感動してしまいました。
JICAと帯広畜産大学とイタプア県の、このプロジェクトFOPROLEIは2021年で9年目に突入しました。
この9年の間に、プロジェクトにかかわっている農家さんや県庁、各市役所などを中心に、帯広の知名度が徐々にアップしています。
イタプア県と十勝、共通点が多く、勝手に親近感を感じています。
日本で十勝といえば、誰しもが酪農や乳製品を連想するのではないでしょうか。
それと同じように、将来、パラグアイでイタプア県と言えば酪農や乳製品、と言われるようになったら面白いな、
と今も一生懸命頑張っているプロジェクトの対象酪農家さんたちのことを、地球の反対側で想像しながら思っています。
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