JICA海外協力隊の世界日記

南太平洋の陽気な島フィジーよりBULA!

アドベンチャー in コロ島

コロ島というフィジーで7番目に大きな島に出張していました。330ある島の7番目とはいえ、南北で30kmしかない小さな島です。人口は3,000人足らず。

この島にはアスファルトの道路はなく、それでも海沿いに島全体をつなぐオフロードが通っていますが、アップダウンに凸凹だらけでしゃべっている声が震えて聞こえるほどです。あともう一本、東西を結ぶ近道がつくられているようですが、雨が降るとぬかるんで車で通るのは危険とのこと。あとは農家の人たちが馬に乗って通る畦道があるくらいです。

私の活動は変わらず、村の女性グループの皆さんにお金に関わる基本的な知識や女性の経済的地位向上に向けたビジネスのアイデアをシェアすることです。

島に到着して4日目。この日は私が担当するトレーニングの最終日で、宿泊先の反対側に出かけていました。宿は島の東側、トレーニング会場は西側でした。

朝起きたときには部屋から日の出を拝むことができましたが、夜中には大雨が降っていました。宿のオーナーの助言もあり、近道を通らず、島を南下し、半周して目的地へ向かいました。

夕方、トレーニングも無事に終了。

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トレーニングが終わって会場を後にしたのが夕方5時。

参加してくれた女性たちの助言もあり、帰りは北上して島を半周することに。

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しばらく進行方向左手に海を眺めながら車で走り、時折、緑に囲まれながら進んでいき、出発から40分ほど経ったころ、ナンブナという場所に着く少し手前で分岐点に差し掛かりました。

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ちょうどそこで農作業から帰宅途中の馬に乗った男性に出会ったので、道を確認することに。

男性に教えてもらった方向に進んでいくと、次第に深い森の中へ。

それでも、この島は海沿いを走っていても時々緑に囲まれて凸凹道を行くので、同乗していた私たち5名全員が、また少し激しめの凸凹道にやって来た、ぐらいにしか思っていませんでした。

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ところが、道は細く辺りは薄暗く鬱蒼としていて、人も通らなければ集落も全く見えません。日も落ちてきて霧が立ち込め、車が通れるような道がなくなっていきます。最初は冗談を言ってみんなで笑っていたのですが、誰もがその気持ちを失っていきました。

そして出てくる言葉は次第にネガティブになっていきます。「あの道を教えてくれた人、うっすら笑ってたよね?なんだか不気味だと思ったんだよね。」と言い出す同僚も。

唯一の頼りがスマホのGPS。時々GPSを確認していたところ、どんどん島の中心から南下していました。

これは絶対におかしい。車が通る道じゃないよね?

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同僚たちとそう話し、分岐点を出発して約30分。Uターンを決意。とはいえ、もはや車も脱輪しそうな細さのぬかるみのどこでUターンするのか...後ろに乗っていた同僚たちが車を降りてUターンできそうな場所を探索。助手席の私は車が脱輪しないように助手席側の様子を見守り、ドライバーが薄暗い中、滑落しないように細心の注意を払って運転しました。

ようやくギリギリの幅でUターンに成功し、来た道を分岐点まで戻っていきました。

雨が降りはじめ、更に道は滑りやすさを増し、霧で視界も悪いという状況。

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敬虔なキリスト教徒であるドライバーと同僚たちは次第に祈り始めます。

ドライバーはしきりに、「大丈夫、大丈夫。神様がついていてくださるから。神様は僕たちを見捨てない。神様がちゃんと導いてくださる。」と自分に言い聞かせながら運転を続けました。

分岐点に戻り、もう一本の道を進んでいくと数名の人が歩いていて民家が見えて来ました。念のため、通りすがりの人に確認。そして更に進んでいくと教会を発見。

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同僚たちは「やはり神様は私たちを見捨てなかった」とほっとした様子。

その後も凸凹道、激しいアップダウンは続いたものの、少なくとも車は通れる道。

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そこからどれくらい走ったでしょうか。夜8時前にようやく見慣れた景色、宿の看板が見えて無事に帰宅できました。

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JICA事務所は隊員の安全を考えてくれていますが、出張先ではどんなハプニングが起きるかわかりません。万が一の時のことを考えて、外出の際には十分な飲み水と携行食、スマホと充電池、懐中電灯などは最低限、準備しておかないといけない、ということを改めて学んだと同時に、無事に戻ってきた今となっては、今回の出来事は同僚たちとのちょっとした冒険であり、いい思い出です。

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