2024/06/20 Thu
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ティリバ村で新規事業の立ち上げを手伝う〜トレーニング・準備編〜
カンダブ島の出張の目的は新規事業立ち上げのお手伝いです。
活動先のティリバ村は人口約230人(2022年)で村にはしばらくの間お店が1店舗もありませんでした。
カンダブ島はその地形の特性からか、約330あるフィジーの島の中で4番目に大きいにも関わらず、いまだに秘境と呼ばれ、島の中心からごく一部にオフロードが通っているのみで、島内の他の村を訪れるのはすべてボートを利用しかありません。ティリバ村からは約15分ボートに乗ってカバラ港に行かないと生活用品が手に入りませんでした。しかもそのお店も小規模で首都スバから船で輸送しているため、買い物に出かけてみても品切れで往復のボート代を払って手ぶらで戻る羽目になることだってあります。
今回、村の住民みんなの念願だったキャンティーン(小さな売店)の立ち上げから携わることができました。これはこの村出身で現在は首都スバに住んでいる女性グループのメンバーの一人からの依頼で、ビジネスに必要な知識やノウハウを教えてほしいという案件でした。
はじめて訪れる村、そしてはじめて会う村の女性たち。彼女たちがどんな生活をしていて、どのような経歴を持っているのかも知らずに現地入り。事前情報を集める努力はしましたが、スバにいる女性たちも詳細をよく知らなかったため、体当たりするしかありませんでした。
そう頻繁に足を運ぶことも難しい離島であるため、店舗運営に必要なノウハウを集中的に伝えるトレーニングを開始。
お互いの自己紹介とこれまでの経験等を聞いていくうちに、実はこの村では誰かしらがお店を立ち上げてはすぐに閉店するということを何人も、何度も繰り返してきた過去があることが見えてきました。経験者たちは「今度こそ長くお店が続いてほしい」と涙ながらに話します。
これは大変な活動になる...でも引き受けたからには彼女たちの切なる願いが叶うようにできる限りのことをサポートしたい、そう心に誓いながら、でも焦らずゆっくり、彼女たちの理解のペースにあわせてトレーニングを進めていくように努めました。
初日はまずタイムマネジメントを伝えるところから。
そうです。フィジーにはフィジータイムなるものがあり、時間を守るという概念が薄いのです。
案の定、初日のトレーニング開始は時間通りとはいかず、人数が集まったのは予定から1時間遅れ。予定時刻までに集まったのは27人中3人だけ。時間を守るということがビジネスで大事な要素の一つであるということを説明し、休憩を挟みます。
休憩の後、どうなるかな?と期待半分、不安半分で様子を見ていると、なんと全員が時間までに戻ってきてくれました!なんて素直な人たちなのでしょう。私よりずっと年上の人もいらっしゃったのですが。その後もトレーニング期間中は8〜9割の参加者がほぼ、時間を守ってくれました。
トレーニングでは店舗経営経験者に閉店になった原因を見つめ直してもらい、それをシェアしてもらいながら、彼女たちに必要なことを補っていくようにしました。
じっと座って座学を受けることに慣れていない皆さんなので、できるだけ多くのグループワークや簡単な発表を交えつつ、飽きが来ないように工夫をしました。
彼女たちの笑顔が一番見られたのはリフレッシュに行ったヨガとお店の運営を想定したロールプレイ。
一方、女性たちのトレーニングを進める一方、男性陣には店舗の一部改修や必要なものの準備をお願いしました。私が訪れた時、すでに店舗のスペースは確保されていましたが、棚は強度が弱く、細々した必要なものが揃っていませんでした。
驚いたのは村の男性たちの仕事の速さです。
普段は毎日何をしているのだろう?と疑問に思うぐらい、その辺に佇んでいるのに、いざ仕事をお願いするとイスだって数時間で作り上げてしまいます。(かなり大雑把ですけど...笑)
実は、出張前のミーティングでは1週間のトレーニングを行い、残りの1週間はOJTという計画でしたが、到着してみれば村の男性たちが明日にでも店を開店させるようにと要求してきました。トレーニングも始まっておらず、店舗内の環境も整っていない中、なぜ開店させられるのか、彼らをなんとか説得し、数日時間をもらいました。
予定の半分の日数で、超高速でトレーニングをなんとか終わらせて開店の準備に入りました。
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