2024/10/08 Tue
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伝統とジェンダー平等
私の配属先はフィジーの女性、子ども、社会的保護省の女性局中央地域事務所です。
ジェンダー平等、ドメスティックバイオレンスの終焉、女性の経済的地位向上を3本柱に掲げている女性省で、村の女性や女性グループの収入向上を目指した活動をしています。
先日、ある村の女性グループを訪ねました。その女性グループのリーダーから事務所にリクエストが届き、前日にも確認の電話をして現地に向かいました。ところが村に到着するとトラガニコロと呼ばれる村と村の外との連絡を取り持つ係の男性から、村への立ち入りを拒否されました。
どうやら、女性グループとトラガニコロの間でのミスコミュニケーションがあったようです。
女性グループのリーダーをその場に呼んでもらい話をし、解決に向かうかと思われましたが、更にトラガニコロが本人の役割をよく理解していないことも判明しました。まだ着任して間もなかったそうです。その結果、トラガニコロは私たちに対して帰れ!の一点張りで私たちは村に入れてもらうことが叶わず、事務所に戻ることになりました。
実は、フィジーの伝統社会は男性優位の社会です。都市化と共にその周辺では男性と対等に働く女性もいますが、多くの女性が非正規雇用でしか職を見つけることができなかったり、無報酬労働に従事している時間の比率は女性が75%を占めていたりします。
伝統が色濃く残る村社会では集会所に集まる時も男性が上座、女性が下座に座ります。
そして仮に同じ空間にいても男性が同席していると女性には発言権がなかったりもします。
今回の件も同様で、トラガニコロは役職に就いたばかりの比較的若い男性、女性グループのリーダーの方が年齢も上でしたが、男性がノーと言えば女性はそれに従うしかありません。
帰りの車内で女性省の男性ドライバーが言いました。
「トラガニコロは政府から給料をもらっている政府関係者。国の取り組み、女性省の取り組みに理解を示すべき。もっと言うと男女平等を彼らからも村に発信するべき立場にあるのに...」
村に行って門前払いというのは、私はもちろん初めての経験でしたが、長く女性省に勤めている職員にとっても初めての経験だったそうです。
何とも残念で後味悪く、モヤッとした気分だったため、近くの海で休憩して帰ろうということになり、ビーチに寄り道。
どこまでも広がる海と空を眺め、美味しい空気を吸って身も心もリフレッシュ。
ここの女性省の取り組みは女性へのアプローチがほとんどです。女性への理解を国全体として深めていくためには男性への訴求も重要だなと改めて思った一日でした。
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