2024/11/10 Sun
活動
ラストミッション
サラム・アレイコム(こんにちは)
モロッコから帰ってきました 助産師のまーみん です。
無事かえる という ラストミッション をついに達成できたことをご報告いたします。
2年前、マグリブおひとりさま で降り立った ラバト・サレ空港。もちろん帰りのフライトもおひとりさま。
…ではありましたが!モロッコで時間を共にした隊員仲間の皆さんたちが、各地からお見送りに来てくださいました!(憧れた光景、前日にランチ会まで開いてもらって本気で泣ける…)
そうそう、着任時にパリからのフライトでお隣になった友人に「助産師」の現地語を教えてもらったことが懐かしく思い出されます。彼女は忘れもしない初めてモロッコ邸宅にご招待くださった方で、なんと最後に伺ったのも彼女のお宅になりました。
「2年前に飛行機で出会ったマミと今日のマミは全く変わったわ」という彼女からの言葉は、まるでモロッコでのさまざまな経験が可視化されたかのように重みを感じられました。
毎朝交わすハグとビズ、各地のモスクから流れる美声を耳にすること のない日々をいつか物寂しく感じるかもしれませんが、今回は真面目にビシッと締め括りたいと思います。(真面目なお話もできます)
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2年間の活動報告
保健・社会省からの要請で、エルジャディダ県3代目の助産師隊員として、コロナ後にモロッコ派遣再開第一号で着任し、母親学級の再開普及と定着、産前・産後健診の質向上、保健医療現場の環境整備 を3軸として、エルジャディダの母子保健ケアの質向上を目指して活動してきました。
主に実施したことは以下の通りです。
【巡回訪問】
– 任期2年間で、配属先が管轄する県内2箇所の公立病院と保健センター41箇所のうち20箇所を監査同行や研修開催、母親学級・産前産後健診の支援、医療キャラバンで巡回訪問。
– 市内7箇所の保健センターで母子保健担当者9名にインタビュー調査を実施。
– その結果や現場の状況を踏まえて、助産師不在の施設を中心に訪問を最期まで継続し、業務支援や看護・助産師学生の指導に従事。
【研修開催】
– 初年度、出産施設がある保健センターで新人助産師向けの母親学級オリエンテーションを計3回、参加者15名に対して実施。
– 県内で新規導入された新生児マススクリーニング検査の研修で、企画段階から講義内容の修正、実技練習の補助に携わり、参加者総計86名で計5回開催。県内病院2箇所と出産施設7箇所で運用開始となり、その後は統計管理に関与。
【活動拡大】
– 2024年に入り立ち上がった移動検診車チームの一員として、医療キャラバンで週末出動を含め計9回郊外の保健センターで毎回100名以上を診療。妊婦健診エコーと婦人科検診の実施、小児の歯科・眼科検診の補助などを遂行し、現地プレスのインタビューに対応。
コロナ禍で一時途絶えた母親学級は数値的には以前と同等に再開していましたが、定期開催に向けた現場ニーズ調査を行うと、紙面上の報告書では見えない現場情報や看護師たちの思考を知ることができました。
そこで、配属先では下記をご提案し最終報告とさせていただきました。
– 監査等で各保健センターを訪問する際の現場スタッフとの直接的対話の継続
– 母親学級を定期開催が困難な現状において、保健省が発信し始めたショート動画の活用
– 実習学生や非医療者の感染安全対策の研修等の検討
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日本人である私、助産師である私
助産師 はフランス語で Sage-femme(サージュファム):直訳すると「女性を助ける」なので、少し日本語に似ているように思います。
英語では Midwife(ミッドワイフ):mid は with と同意味で、wife は 女性 を表わします。つまり、「女性とともに」と訳すことができます。
私は 助産師 という自身の職業が好きです。それと同時にこの国家資格は日本を一歩出てしまえば単なる紙切れではないか、と極端な考えもありました。だからこそ、これまでも知識と技術のアップデートには投資を惜しむことはありませんでした。
モロッコでの生活や活動の中では、ジェンダーギャップ、ダイバーシティ、世の中の流れに反するかのように、女性・男性 を意識せざるを得ない局面に多く当たっていたように振り返ります。それでも、ひとりの日本人助産師として任地で受け入れていただいた日々は、自分の中の 揺るぎないアイデンティティ に気付かせてくれました。そして、常に死を身近に感じる世界で「いまを生きる」ことの大切さを改めて考えた毎日でした。
助産師は 妊娠・出産だけではなく、女性の生涯に寄り添う 存在であると考えています。
その点でも、女性が集う モロッコのサロン文化 や 保健センター という医療システムに好感を持っており、美しいモロッコマダムたちと過ごした経験は、助産師としてのケアの幅も質も豊かにすると信じてやみません。
「日の出る国」日本 から約11,540km離れた「太陽が沈むところ」マグリブ で、2年間を支えてくださった方々に深く感謝すると共に、これから出会う人々に温かい心を紡いでいきたいと思います。※写真は最後に首都で眺めた夕陽です。
最後になりますが、初稿から約18か月にわたりお付き合いいただき、本投稿をご愛読くださいました (まーみん のファン?の) 皆様 、誠にありがとうございました。いつかどこかで何かの機会に、このモロッコ情報のかけら が皆様の何かしらのお役に立つことがあれば とても幸せ です。
シュクラン, アルハムドゥリッラー(皆様のおかげさまで、すべてに感謝を込めて)
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