JICA海外協力隊の世界日記

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今回で短期ボランティアとの活動紹介は最後になります。

首都では、8月上旬は女性15人制代表、8月下旬は女性7人制代表の指導をして頂きました。というのも、8月中旬に女性15人制の2021年ワールドカップ予選が南アフリカで開催されたためです。

15人制については予選参加が決定したのが20193月、開催が8月中旬でした。そのため6月の日本遠征までは7人制、7月から8月上旬までは15人制と変則的な準備でした。

また、予選終了後は10月上旬の7人制のオリンピック予選を兼ねたアフリカ大会の準備です。

本来は7人制と15人制は別競技と言って良いほどの違いがあり、世界では7人制と15人制を両方プレーする選手はほとんどいません。しかし、日本もそうですが、マダガスカルも競技人口が少ないため7人制代表選手は15人制代表にもなります。

ワールドカップ予選参加国は南アフリカ、ケニア、ウガンダ、マダガスカルです。

マダガスカルは15人制の国際試合は初めての状況でした。そのため、他3か国は格上となります。結果は021分。個人の感想としてはケニア、ウガンダについてはしっかりと準備をすれば勝てると感じる試合内容でした。しかし、しっかりと準備できないマダガスカル。例えば選手のみならずコーチも練習に遅刻、ギリギリに到着といった状況でした。このままでは7人制ラグビーにも影響すると考え、15人制代表帰国後にラグビー連盟に選手を集めて貰い、ミーティングをしました。

以前からコーチに対しては練習時間ギリギリに到着、遅刻はダメではないかという話をしていましたが、改善はされていませんでした。

そのため今回はミーティングで、選手の前でコーチに対して遅刻のこと、選手に練習でしたことのないポジションを試合でさせることなど、コーチの問題点を話しました。

ラグビーはスクラムがあります。最前列の選手は崩れると半身不随などのリスクがあります。そのためルール上も、必ず練習した選手をベンチに3名以上置かなければならないとされています。引率したコーチはその最前列に、十分に練習したことのない選手を選びました。

練習していないポジションに選手を配置することで、チームとして機能するのかという点と、選手の安全について話しました。その後、連盟の提案でコーチ同士、選手同士で話し合いが行われたようです。

そして問題はこのミーティングの後に発生しました。

翌日は7人制の練習でしたが、問題点を指摘された1人のコーチが選手にボイコットを指示しており、ボイコット指示を知らない選手4名のみ練習に来るという状況になりました。

また、その他のコーチは選手へのボイコット指示を知らず、練習開始1時間前には到着していました。

結局、ボイコットは1日で終了し、選手の意思というよりもあるコーチの指示でした。以前にも選手が、「コーチの指示の内容に関係なく従わないと、今後代表に選ばれなくなる」と言っていたことを思い出しました。

日本であればコーチに対して考えを述べることは普通であり、衝突もよくあることです。

今回の件でいろいろなことを再確認しました。

マダガスカルでは、選手の前でのコーチへの指摘は好まれないことです。

また、同僚は今回の件については「間違ったことは言っていない」とは言ってくれています。また、コーチの評価についても、「しっかりと教育を受けたコーチは規律があり、行動についても問題がない。反対に教育から逃げたコーチは規律がない」と言っていました。

2年間以上活動してきて、よく考えされられるのが、この「教育」という言葉です。

選手の練習態度について、コーチと話すと「以前にも話したが変わらなかったし、彼女は教育を受けていない、住んでいる地区が良くないので影響を受けている。」と説明します。では、ラグビーの5つの価値(尊重、規律、品位、情熱、結束)を通じて、彼女を変えればいいのではないかと言うと、それは無理な話だということを言われます。

一方で、彼女の問題点を指摘するコーチに規律がないということもあります。「規律のないコーチが、選手に規律を話しても選手はどう思うか」と指摘すると「それは関係ない、彼女の態度が良くないのは教育であり、それがマダガスカルの問題であり文化」であると言われます。

また、今までに「それがマダガスカル文化、あなたは何も知らない」という言葉で問題を片付けられることが何回かありました。

最後にボイコットがあった日は朝の練習でしたが、同僚が短期ボランティア3名へ気を使って朝10時から飲みに行こうと言ってくれました。。。

最後に連盟長からは3名へ代表チームのジャージをプレゼントして頂きました。

短期ボランティアの方々には、1ヶ月間で移動距離2,000km以上というハードな中、計700名以上に指導、普及して頂きました。本当にありがとうございました。

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