JICA海外協力隊の世界日記

エジプトからアッサラーム・アレイコム

イードルアドハー(犠牲祭)

イードルアドハー(犠牲祭)は、イスラム教徒にとって、1年で1番のお祭りです。イスラム暦12月(ズー・ル・ヒッジャ)は、「巡礼の月」を意味し、イスラム教徒たちは8日~10日頃にメッカ巡礼を行います。巡礼最終日の10日が「犠牲祭」にあたり、巡礼終了を祝います。犠牲祭と、その前後は祝日となります。日本でいえば、年末と正月休みのような感じです。

犠牲祭における「犠牲」の儀式は、以下の故事に由来します。

預言者イブラヒームは、息子イスマエルを生贄として捧げる夢を見ます。預言者が見る夢は、アッラー(神)からの試練であり、イブラヒームと彼の息子はアッラーの意思に服し、命令を遂行しようとします。イブラヒームが息子を手にかけようとした時、アッラーが彼の信仰心をたたえ、子羊の犠牲と引き換えに息子の命を救ったそうです。

この故事は、巡礼における儀式として受け継がれており、メッカ巡礼に行っている人たちは巡礼先で、巡礼に行かなかった人たちはそれぞれの地で礼拝を行い、神への信仰と忠誠心を示すために、羊や牛などを犠牲として捧げます。

犠牲祭前には、街のいたるところで、羊を目にしました。大きさにもよりますが、1頭あたり3万円程だそうです。裕福な人は、羊を1頭買いして三等分し、家族、親せき、貧しい人と分け合うそうです。今普通に生きている目の前の羊たちが、数日後に屠殺されることを思うと何だか申し訳ない気持ちになりました。犠牲祭当日、2度とない機会なので、羊の屠殺を見ることにしました。肉屋さんで見学したのですが、喉を切られて、息絶えるまで数分間、暴れて苦しむ羊の姿は衝撃的でした。

晩御飯は、上司のお家で頂きました。犠牲祭ということで、上司が私のお皿に牛肉を沢山取り分けてくれました。お肉は、上司が肉屋さんで買ったそうですが、こちらの肉屋は何だか生々しく今まで1度も利用したことがありません。上司に「エジプトの肉屋は怖くて、買いづらい」と話すと「日本にはエジプトみたいな肉屋はないのか。どこで肉を買うのか。」と聞かれました。「スーパーでラップしてあるモノを買う。」と言ったら、顔をしかめられ「新鮮じゃない。」と言われました。日本では、動物が解体され「肉」として販売される過程を見る機会はありませんが、こちらの肉屋では、店先に皮を剥がれたお肉の塊が吊り下げられており、注文に応じて、肉屋さんが切りわけてくれます。流通の過程が見える方が安心して、食べられるのかもしれません。話が脱線してしまいましたが、犠牲祭を通して、私は、動物の犠牲のもとに生かされていて、動物の命を頂いていることに感謝しなければと思いました。

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