JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「いい顔してればいいか!」

生まれた国も、育ってきた文化も違う。

話す言葉も違ければ、学校で学んできたことも違う。

宗教も違う。

私とセネガル人の間には、違うことばかり。

相手の考えを受け入れることは、簡単なことではない。

相手を理解することは、難しい。

そして、自分の考えを伝えることはもっと難しい。

それでも、楽しさや嬉しさは分かち合えるのではないか。

3月になった。

幼稚園での活動が6か月目に突入したことになる。

園長先生が、図工の時間のために

材料を買ってきてくれるようになってきた。

どうやら、

年長クラス担任のトントンパテ、年中クラス担任のタタアミが

園長先生のもとへ行き、材料購入のお願いをしていたそうだ。

コンクリートむき出しだったクラスの壁には、

模造紙が張られ、その上に丁寧に子どもの作品が掲示され始めた。

以前、子どもたちと作ったヤボイ(セネガルの食卓に並ぶ魚。

しかし、私はこの作品をくじらだと信じている)も泳いでいるし、

ほかの作品たちも飾られている。

先生方が協力してくれることが日に日に増え、

「こんなことやってみたい」と私が提案すると、

「バーフナ!」(現地語でいいね!という意味)の即答が増え、

実際にうまく進むかは別として、

次週の計画を立てるようにもなってきた。

さらに、その計画を紙に書き起こし、

指導案のようなものが用意されるようになった。

少しずつ、うれしい変化が見えてきた。

私の活動先の幼稚園を含め、

セネガルの幼稚園は、椅子や机、

工作に必要なクレヨンやハサミ、のりなどの材料、

とにかくいろいろなものが人数分ないことが多い。

椅子に着席し、制作するために、

椅子の数に合わせ、子どもたちは68人のグループに分かれ、

グループごとに制作の時間が進む。

一つのグループが席について制作をしている間、

ほかのグループの子どもは、ゴザに座って待っている。

そのため、先生方は

「ほかの子たちが待っているから早くしなさい」と

子どもたちを急かすことが多々あった。

そこで、長椅子を机のかわりに使ったり、

ゴザに座ったまま制作できるものを提案したり、

私は、子どもたちの「待つ時間の解消」に努力した。

先生方も、私の意見に賛成してくれ、

「待つ時間の解消」と「急かすことをなくす」ために

授業の進め方を工夫しようと動き始めた。

うれしい変化が見え始め、子どもたちの活動時間が増えるに伴い、

「私は、このタイミングを逃したくない!」と思い、

先生方や子どもたちが興味を示しそうな

工作や玩具作りなどを提案したり、紹介したりした。

この波に乗り、活動をよりよくしていきたいと思った。

けれど、現実はうまくいかない。

「じゃぁ、あとは宜しく」とすべてを頼まれてしまったり、

「材料が準備できなかった」と制作ができなかったり、

先生が子どもに「座って静かに待っていなさい」と言って

教室の外へ行ったまま戻ってこないで

子どもたちはやることなく時間が過ぎてしまったり。

うれしい変化が見えてきた分、

うまく進まないことが悲しく、辛く感じた。

先生方といっしょに活動をしていると、

たとえ小さなことでも、

楽しい気持ちや達成感を共有することが増えてくる。

このような小さなことがらを大切にしたいと思った。

楽しさや嬉しさを分かち合いながら、活動を進めていけば、

よりよい活動になっていくのだと信じている。

「できた!」という気持ちは、

子どもも大人も次のやる気につながり、

自信にもなっていく。

「できた!」という達成感に行き着くまでに

どんな道を通るのか、その過程を大切にしながら、

「できた!」ということを、積み上げていくしかないのだろう。

写真を見ると、

子どもも先生方も、私も、なかなかいい顔しているなぁと

思ってしまう。

分かち合えた気持ちと「できた!」を

少しずつ積み上げられ始めただろうか。

活動する中で、

受け入れられないと思うことがあっても、

まずは、受け止めようと思う。

先生方、そして、子どもたちと向き合うために、

自分自身にも正直に。

一歩ずつ、今日も、明日も。

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