JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「つくったあとに」

子どもたちとの活動は、だんだんと戦いとなってくる。

ここでは、日本と違いないものがたくさんある。

現地で手に入る廃材を利用したアクティビティと言っても、

任期が残り2か月ちょっとになってくると

アイディアが出尽くしてきてしまう。

とは言っても、子どもたちにわくわくするものを届けたいし、

保育にあたるスタッフや先生方にもわくわくしてもらいたいので、

隊員同士で情報交換をしたり、

日本での経験を振り返ったりしてアイディアを集めている。

幼稚園では、顔出しポスターを作った。

日本の観光地などでは、

物を描いた看板の顔の部分がくり貫かれていて、

そこから顔を出して写真を撮るパネルがあると思うが、

その顔出し看板からアイディアをもらった。

壁掛けカレンダーの裏紙を利用して、クレヨンや絵の具、そして

書初めをした際に余った墨をつかって制作していった。

子どもたちも楽しそうに制作に取り組んでいたが、

先生方同士でできあがった作品と写真を撮っていて、

子どもだけでなく、先生方も心から楽しめた作品つくりになったようだ。

セネガルで子どもたちと制作活動をしていて感じることは、

できあがった作品を大切にしない子どもたちが多いということ。

工作では、作る作業を楽しみ、

作り終えたものには関心がないように見えることもある。

学校や幼稚園の掲示物は、

破れていてもそのまま放置されていることも珍しくなく、

子どもたちと一緒に折った紙ヒコーキが

道端に落ちていて悲しい思いをしたこともある。

工作には、作る前にどんなもの仕上がるか想像する楽しさ、

作っているときのどきどきやわくわくする楽しさ、

そして作り終えたものを飾ったりする楽しさや、

作品で遊ぶ楽しさなどがあると思う。

そこで、孤児院で、作った後も楽しめる作品つくりをテーマに、

お手製・なんちゃって竹とんぼを子どもたちとつくった。

空き箱などを切って分けた厚紙やトイレットペーパーの芯、

ストローをつかって本体を作り、

ペンやクレヨンで色を塗ったり絵を描いて完成である。

羽の部分のバランスが悪くうまく飛ばせない子どももいたけれど、

飛ばせるまで作るんだ!という意気込みが嬉しかった。

私が活動を始めた頃は

「つくってよ」とお願いされたり

私の用意した作品例を欲しいと言われることも多かった。

いつの間にかそういうことを言われることは少なくなった。

こうした小さい変化も私にとっては嬉しいのである。

お手製・なんちゃって竹とんぼは、

ほとんとの子どもが大切に扱ってくれた。

全員ではなかった。でも、少しずつ。

作った後も楽しもうということで、幼稚園では、

紙袋を利用してショルダーバッグをつくった。

折り曲げた部分を顔に見立てて

目や口を描いたり、耳に見立てた色紙を貼ったりしていく。

子どもたちが喜ぶだろうなと思っていたのだが、

春休み明けの今日は、子どもたちもどこか眠そうで、

集中力も切れがちだった。

「急いで首にかけようとすると破れちゃうからね」

「重いものいれると穴開いちゃうからね」って

子どもたちに伝えて作った今日、そのままお持ち帰りだ。

お見送りやお迎えの際に、

持ち帰った作品を見たわよと声をかけてくださる保護者が

少しばかり増え、ここぞとばかりに工作の時間を増やしている。

残りの任期が2か月ちょっととなり、

今までの活動を振り返るとこれでよかったのか、

もっとできたことがあったのではないだろうかと思ったり、

この案件に自分よりも適した方がいたのではないかと思ったり、

くよくよすることも多く、

たった一言の誉め言葉などでとてもうれしくなり、

一喜一憂する今日この頃なのだ。

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