JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「空模様」

私の活動先は、幼稚園だけではない。

小児科病棟の子どもたちを対象にした活動もある。

世界日記を書き始めた時に、少しだけ触れただけで、

なかなか書くことができなかった。

何を書いていいのか、何て書いていいのか、

言葉選びが難しかった。

自分が感じたことを、自分自身もわからなかった。

悩んだり、悲しんだり、

それでも「がんばらなくては」と思って、

活動へ行っても、またへこんでしまう。

子どもを好きな気持ちだけでは、なにも通用しない。

そんなことを思う日もある。

小児科病棟に入院している子どもたちは、

もちろん、病気を治し、家に帰るために治療を受けている。

しかし、中には医療技術や治療費の関係で、

思うように治療が進まないことがある。

病気が治らないまま、家に帰る子どももいる。

私は、8月からこの小児科病棟で活動を始めた。

それまでの間に、5人の子どもたちが旅立った。

教え子を、見送った。

今まで、こんな大人になってほしい、

いろいろな夢を思い描いてほしい、

たくさん挑戦してほしい、夢を追い続けてほしい、

と、子どもたちの未来が前提にあって、

子どもたちにできることを、私は探してきた。

けれど、いま、

この病院でいっしょに過ごしている子どもたちの中には、

余命を宣告されている子どもたちがいる。

なにができるのだろうか、

と、悩んだ。

けれど、何ができるのかわからなかった。

この今の悩みは、

自分が子どもたちの役に立てるという

前提に立っているから感じるのであって、

なんて自分は傲慢なのだと

自分自身が嫌になることもあった。

子どもが旅立った日、

悲しくて、悲しくて、それでも涙はでなかった。

ドラマのワンシーンのようにも感じて、

頭では理解できても、心がついていかなかった。

どうしてこの子が、と思った。

もし病気にならなかったら、と思った。

でも、なんだか私の感情はその子の人生を否定しているようで、

たとえ、「短い生涯」だったとしても、

子どもたちは精いっぱい生きていた。

だから、その日まで、そのときまで、

一生懸命生きてきた人生を、生き方を、命の終え方を、

私は肯定したいと思った。

そして、私は子どもたちの力になりたいと思った。

たとえ傲慢でも、自分勝手だったとしても、

自分が子どもたちの力になりたいと思っていたら、

子どもたちが私の力を必要としたときに、力になれるかもしれない。

必要とされたときに、力になれるように。

模索する日々だった。

私は、医師ではないため、子どもの手を握って

祈ることしかできない場面に遭遇することがある。

手を握ると、

一生懸命に力を込めてぎゅっと握り返してくる子どもや、

Tane naa」と言う子どももいる。(元気になったよ、の意味。)

大袈裟なような気もするけれど、

手を握ることで子どもたちに力を与えることができると感じた。

未来を担う子どもたち。

毎日がわくわくの連続で笑顔が輝く日々だと良いのだけれど、

生きていれば悲しみや不安、

辛さや痛みに出会うこともある。

そのようなものに出会ったときに、

キミはひとりじゃないよ、キミを応援しているよ、

遠く離れていてもキミを思い出しているよ、

そのように声をかけてくれる友達がいたら、

悲しみや不安は小さくなるのではないか。

そのような友達がいれば、

辛さや痛みは優しさに変えられるのではないか。

そのようなことを考えた。

手をつなぐことが、子どもたちの力になるのではないか…。

(写真上:壁に飾られているこどもたちの作品)

そして、手をつなぐことをテーマにした、

絵本制作をすることにした。

世界各国に住む友人やそのまた友人の方に協力をいただき、

リレー形式で、絵本をつなぐ。

実際に手をつなぐことは難しいけれど、

手をつなぐように完成した絵本を手に取り、

物語を読んでわくわくしたり、

世界各国の友だちに思いを馳せたりできるようにしたいと考えた。

子どもたちが頑張りたいとき、勇気を出したいとき、

絵本が優しくぽんと子どもたちの背中を押せるような存在に

なるのではないかと思う。

現在、絵本は小児科病棟の子どもが2ページを書き上げ、

それを受け取ったカナダの子どもたちが続きを仕上げ、

さらにその絵本の続きを描くために、

日本の子どもたちが想像を膨らませて待っている。

物語が始まった。

この絵本は、

ミクロネシア、パラグアイ、パナマ、

アメリカ、ミャンマー…

とバトンが続く予定だ。

もし、絵本が届いたら、ぜひ続きを描いてほしい。

絵本を通して友達になろう。

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