JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「島へ」

ンブールをあとにした私は、ジョアールへ向かった。

ジョアールにはファジューという島がある。

私は、このファジュート島に来てみたかった。

あとから知ったことだが、ファジュート島は、

セネガルの初代大統領サンゴール氏の故郷として

有名であるそうだ。

人口3000人ほどの小さな島で、

別名「貝殻島」と呼ばれている。

海岸や島の中の道が貝殻で覆われていることが

貝殻島と呼ばれる由縁だ。

私がこのファジュート島に来てみたかったのは、

「他者と共存した生活」を感じてみたかったからである。

セネガルに住む多くの人がイスラム教徒であるが、

ジョアールやファジュート島にはキリスト教徒が多い。

この地では、異なる宗教の人たちが支え合い、生きている。

1999年、ファジュート島は記録的な暴風雨にさらされ、

島内の聖フランソワ・クザヴィエ教会が倒壊した。

教会の再建にあたったのは、

キリスト教徒とイスラム教徒であった。

そして、イスラム教徒の人々は、ただ再建を手伝うだけではなく、

自ら異教徒の教会のために、寄付を集めたという。

島民の一人に、私がこのエピソードについて話を伺うと、

「特別なことをしていないのに、なぜそんなに不思議がるんだ?」

と言われてしまった。

そして、話を伺った島民の方が、

「(異教徒同士で)力を合わせて建てたモスクもある」

と教えてくれた。

ファジュート島から橋で渡れるとなりの島は、

島全体が墓地となっている。

十字架が飾られているキリスト教徒のお墓の隣には、

星と三日月で飾られているイスラム教徒のお墓がある。

ジョアール、そしてファジュート島では、

同じ墓地に埋葬されている。

「たとえ、どんな宗教の人でも、

どこの国からやってきても、

肌の色が何色であっても、

どんな言葉を話そうとも、

どんなシゴトをしていようとも、

シゴトをしていなくても、

どんな信念を掲げていようとも、

ファジュート島の島民は、

助けを求めている人がいれば救いの手を差し伸べるし、

力を貸してほしいときは、素直にあなたの力を借りたいと言う」

と、話を伺っていた島民の方が話してくれた。

コーランの章が飾られた屋台で、

十字架をした人としていない人がアタヤ(紅茶)を飲みながら

談笑している姿は、心が温まる光景だった。

穏やかな暮らしが、ここにはある。

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