JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「あしたとあさって」

任地サンルイを発つのが620日。

2年間の月日はあっという間に流れてしまい、

帰国も間近になってきた。

つまりは、いま、さみしい。

2年間、たくさんの人に支えられながら活動できた。

充実した日々だったけれど、やりきったという実感はあまりない。

迷うことがたくさんあり、これでよかったのかと悩みは尽きないのだ。

現地の生活に溶け込み、活動をしてきたわけだけれど、

(どれくらい溶け込めていたのかわからないけれど)

私はあくまで日本から来た部外者で、

現地の人の視点を持てたとしても、

現地の人にはなれないのだと感じている。

当事者にはなれないのだと身をもって知った。

外部から来た人が、知識や経験を伝えること、

いっしょに何かに取り組む中で技術を教えることは

とても大切なことであるけれど、

現地の人、当事者にとっては参考になる程度のものなのかもしれない。

現地の人が問題、課題だと思うことに対して、

現地の人が解決策を模索し、

現地の人が解決していくことが大切なのだと思う。

だから、青年海外協力隊として派遣されて、

私がなにかお手伝いができていたとしたら、

それだけでうれしい。

タリベと呼ばれる子どもたちとの活動。

彼らの保護者役であり宗教指導者のマラブにたくさんお世話になった。

彼らはイスラム教徒である。

毎日5回、メッカの方向を向いて礼拝している。

礼拝の所作は、神を敬う姿を示しているともいわれている。

タリベが寝起きをし、コーランやイスラム文化を学び、

タリベの生活基盤となっているダーラには、

礼拝のためのスペースがある。

私は、このダーラにて活動をさせていただいた。

異教徒の私が、ダーラで活動をさせていただけたことのありがたさを、

帰国間際のいま、とても感じている。

要請内容に記載されていたわけではない。

私が路上で出会った子どもの一人がタリベで、

私が勝手にタリベについてもっと知りたいと思い、

彼らと過ごしてみたいと感じたことがきっかけである。

裸足で埃まみれで

皮膚病や傷が目立つタリベの力になりたいと思ったのだ。

お絵かきや工作、衛生指導をしてきたけれど、

活動を進める中で、マラブに対し、失礼な態度や発言もあったと思う。

語学の壁もあり日本人同士、日本語で話すとのは訳が違く、

言葉を選んで話を伺うことができず、

意見の伝え方も上手でなかっただろう。

それでも、マラブは嫌な顔せずに、丁寧に、

タリベのこと、イスラム教徒が大切にしていることを話してくれた。

異文化の中、何かを伝えることは簡単なことでない。

難しく、うまくいかないことばかりだけれど、

それが当たり前なのだ。

私は、なぜ、裸足で埃まみれで

皮膚病や傷が目立つタリベの力になりたいと思ったのだろうか。

タリベがかわいそうな存在に見えたのだろうか。

帰国の挨拶へいったとき、マラブからコーランの節をいただいた。

突然遠い異国、日本からやってきた見ず知らずの人間を受け入れてくれ、

そして、今度は送り出してくれた。

インターネットでタリベの情報を検索すれば、

その多くがタリベの制度を批判し、児童虐待だと伝えている。

私が見てきたタリベたちも現実で、

きっとインターネットの記事にあるタリベも現実なのだろう。

いま、「タリベってどんな子どもなの?」と聞かれたら、

ある程度お伝えすることができるけれど、

「タリベについてどう思う?」と聞かれたら、

言葉に詰まる。

私は、マラブやタリベに感謝の気持ちでいっぱいで帰国を迎える。

私が見たこと、感じたことを、きちんと伝えられるようにしたい。

私がいま伝えられることは、

彼らも子どもで、子どもらしい表情するということ。

しかし、一方で、タリベでない子どもと比べると、

病気や事故、犯罪に巻き込まれるリスクが高いという現実があること、

それでも、笑顔は輝いていること、

しかし、その笑顔の裏にたくさんの涙もあるということ。

青年海外協力隊としての生活も本当に残り僅か。

任地で過ごせるのは、あと2日。

1週間後はセネガルで過ごす最後の夜だ。

私になにができるだろうか。

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