2016/01/21 Thu
少し昆虫の話でも...
皆さん、こんにちは。
エンカルナシオン・イタプア県庁配属の壁谷英幸です。
1月半ばのパラグアイ、ジリジリと暑い日々を過ごしている今日この頃です。
日中はセミの声、夜はコオロギやカエルの音色を聴きながらテレレ(水出しのマテ茶)を飲む毎日…、朝は夏のようで、夜は秋のような感覚を楽しんでおります。
実は私は、大学生の頃は、畜産環境に関わる昆虫類の分類や生態などを勉強していました。
パラグアイでは、小規模酪農家強化プロジェクトのコーディネーター職をしている傍ら、休日や調査の空いた時間には昆虫採集を密かに楽しんでいます(一つのストレス解消と言いますか趣味の一環で行っています)。
日本の昆虫もですが、南米の昆虫も多種多様で、一つ一つを観察してみると生態や体の特徴から昆虫のことや生息する周りの環境について知ることの楽しさを味わうことができます。
今回は、中南米で見つけた昆虫を紹介できればと思い、ブログを書きました。
紹介する昆虫は、少しですが読んでいただけたら嬉しいです(特に面白いと感じた4種類の昆虫を紹介します!)。
1種類目:バラトゲツノゼミの一種(ツノゼミ科)
中南米に来て、最初に驚いたのは、日本で図鑑の中でしか見られなかった昆虫が、実際に眼の前で擬態(動物が、攻撃や自衛などのために、からだの色や形などを、周囲の物や植物・動物に似せること)している様子を見られたことです。
パラグアイに来たことで実際に自分の手で触ることができ感動しました。
このバラトゲツノゼミの仲間は、バラのトゲのようなツノを生やし、植物の茎や木の幹などの上で生活しています。
実際に手に取ると2mmほどの小さい個体ですが、存在感は抜群で、一つの茎にこの個体がたくさんいる様は、本当にバラのトゲが生えているかのように思えます。
2、3種類目:アプデルスツノカブトムシ(カブトムシ亜科)とパンカブト(カブトムシ亜科)
左写真のアプデルスツノカブトムシは、ブラジル南部からアルゼンチンにかけて生息するカブトムシでヘラクレスオオカブトのようにツノの付け根にオレンジ色の髪の毛のようなものが生えているのが特徴です。
実はこのカブトムシ、繁殖能力がかなり高く、2005年のパラグアイ南部では小麦の収量がこの昆虫の幼虫によって50〜60%も減少したという報告もあります。(幼虫が、茎や根を荒らしてしまうため)。
一般的な日本のカブトムシと比べてツノの形状も異なり、まっすぐ真上を向いています。
他の種類もツノの形状が上を向いており、一例として、右写真のパンカブト2種(同じ種なのですが、パン型、エネマ型とツノの形状が違う種がいます。)は、どちらも木登りが苦手で、地面を這って移動するため戦車のようなフォルムをしています。(この種は、日本のカブトムシとは異なり、オスもメスもツノを持つのが特徴)同じ種内で○○型と更に種類を分けられる昆虫に初めて出会ったことに驚きました。
4種類目:ハキリアリ(フタフシアリ亜科)
ハキリアリは、北アメリカから中南米までに分布する「農業をするアリ」です。
様々な木に登り、葉を切り落としては次々と巣へ運んで行き、この葉に特殊な菌類(アリタケ)を植え付けることで小さなキノコを栽培し餌資源を確保しています。
観察してみると、大きな個体がいたり小さな個体がいたり(アリのサイズが違うのは、それぞれが役割を持っているため)様々で、アリをこんなにまじまじと見たのは人生初めてでした。
このように、パラグアイにいると日本ではなかなか見られない昆虫に出逢えます。またアリやカブトムシといった身近に存在している昆虫でも調べてみると馴染みの姿とは異なる様子が見られるということに気付きます。海外で活動している上で行き詰まるとどうしても一つのものしか見えなくなリますが、気分転換で昆虫、植物や野生動物を見てみると、新鮮な出逢いや刺激によって何か閃きがあったり、考え方がガラリと変わることもあると感じています
(昔、取り上げたカライ・オクトゥーブレhttp://world-diary.jica.go.jp/obipara/culture/post_18.phpもですが、自然環境が風習に取り入れられていることが多々あり、知ることでその国の文化を知ることができます)。
海外に来て楽しいなと感じたことの一つに、日本では出逢えない自分にとって未知な世界を知った時、アハ体験というかスッキリした気持ちになれる、ということがあります。昆虫を知ることも海外を知ることの一環であり、どうしても止められないし、パラグアイ人との話のタネの一つになることもあります。
趣味の一環で行っていることでも、自分に新たな気づきを与えてくれたり、コミュニケーションの潤滑油になったりと何かしらのメリットがあるのです。
人生で勉強したことに何一つ無駄なことはないのかなと感じています。
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