JICA海外協力隊の世界日記

デリー下町生活

アムリトサルの旅 1

 テスト期間で授業がないので、アムリトサルへ旅行に行ってきました。これまで「Gadar2」や「ミッション・ラニガンジ」「ケサリ」などのスィク教徒が主人公の映画を観て、一度、スィク教の聖地アムリトサルに行ってみたいと思っていました。

 これら映画の主人公に共通するのは、勇敢なことと妻を大事にすること。(Gadar2以外は実話を基にしています)スィク教徒とは大雑把に言うと頭にターバンを巻いている人たちです。インド人というとターバンが頭に浮かびますが、スィク教徒はインドでは約2400万人で人口の2%に過ぎないのだそうです。

 では、どうしてインド人=ターバンというイメージが広がったのかというと、スィク教は、成立時に裕福で教育水準の高い層の帰依が多かったことから、職務等で海外に渡航するインド人にスィク教徒が多く、頭にターバンを巻いたスタイルがインド人のイメージとして海外に広まったと言われているそうです。

 スィク教は、16世紀に教祖ナーナクがヒンドゥー教とイスラーム教の統合を説き、平和主義と平等主義をかかげて始めた宗教です。ナーナクの父はヒンドゥー教徒、母はイスラム教徒だったそうです。

 調べてみると、その教義は次のようなものだそうです。
・唯一なる絶対真理を崇拝し、それを読誦し、祈りを捧げる。
・いかなる職業にも軽蔑されず精一杯働くことがよりよい来世につながる善行とされる。
・神聖なるものはすべての人に存在するのだから、すべての人は平等である。
・唯一なるものに奉仕するため、信者は共同体を作り助け合う。

 したがって、スィク教ではカーストや人種、貴賤、男女の差は否定されます。今回の旅で実際にそれらを感じることができるのかとても興味がありました。

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 これはハリマンディル・サーヒブ(黄金寺院)。不老不死の池と呼ばれる聖なる池の中央に建ち、750kgの純金で装飾されているそうです。これは夜明け前に撮ったものですが、この時間でも多くの礼拝者がいて池で沐浴する人もいました。

 この黄金寺院はスィク教徒じゃなくてもだれでも入ることができます。頭を布で覆い、靴を脱ぎ足を洗えばだれでもOK。また、みなとても親切です。広い場所なのでよく道に迷いましたが、その度に教えてくれました。行き先まで連れて行ってくれた人もいました。

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 これはランガルと呼ばれる無料食堂。24時間だれでも利用でき、おかわりもできます。私は2回食べましたが、チャパティとご飯、ダール(豆のスープ)、ひよこ豆のカレー、甘いミルク粥がでました。(毎回メニューは変わる)優しい味のベジタリアン料理でした。

 ここでは一日10万食を用意するそうです。食材は寄付で集められ、料理を作ったり配ったり皿を洗ったりするのはボランティアで行われます。ここではだれでも平等にむしろの上に座って食べます。ヒンドゥー教徒が身分の違う人と一緒に会食をしないことへの批判があるそうです。ムガール帝国のアクバル皇帝もランガルで人々と一緒に食べたのだそうです。一日も休むことなく500年以上続いているのは本当にすごいことだと思います。

The-story-behind-Granting-of-land-for-Langar-by-Akbar.jpg

 また、黄金寺院の敷地内には無料宿泊所もあります。3階建ての施設で多くの人を収容できるようですが、そこに入りきれない人たちは黄金寺院を囲む回廊で寝ていました。

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 無料宿泊所。大勢が泊まれるようになっています。この写真の右側にはトイレとシャワールームがあります。一日に何回も掃除されていて、清潔に利用できるようになっていました。 

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 掃除をするボランティア。ランガル(無料食堂)での給仕係の他、不老不死の池の浮遊物を取る人たちもいたし、博物館を案内する人たちもいました。なんというか、押しつけがましい感じはみじんもなく、すがすがしく仕事をしていました。これもスィク教の教義から来るのだろうと思います。今回、アムリトサルに来てスィク教を実感することができてよかったと思いました。インドの多様性をまた一つ体験することができました。

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