JICA海外協力隊の世界日記

デリー下町生活

カジュラホの旅

 ちょっと前のことになりますが、11月にカジュラホに旅行に行ったときのことを書いてみようと思います。
 
 11月インドではディワリというお祭りがありましたが、その休日を使ってカジュラホを旅しました。カジュラホの寺院群にはエロティックなミトゥナ像(男女交合像)がたくさんあり、それをぜひ見てみたかったのです。

 カジュラホの寺院群は、ヒンドゥー教徒のチャンデーラ朝がその最盛期(950~1050年)に築いたものだそうです。本当はもっとたくさんあったようですが、14世紀にイスラム教徒の支配下に入ると破壊されて、現在残っているのは85あった寺院のうちの25に過ぎないのだそうです。

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 カジュラホの朝。レイクと呼ばれる池みたいな場所で沐浴をする人たち。若者に「寒くないですか?」と聞いたら、「そりゃ、寒いよ」という返事。ヒンドゥー教徒にとっては寒くても大事なお勤めなんでしょうね。池の向こうに見えるのが、寺院群(西群)です。

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 これがミトゥナ像。すべてミトゥナ像で埋め尽くされているのかと思ったら、そうではなくあちらこちらに散在していて、思ったより数は少なかったです。見つけたときは嬉しくてつい見入ってしまいました。

 初日は観光客が多かったので、2日目の朝7時にもう一度行き見学しました。朝早かったせいかだれもいず、世界遺産貸し切り状態でサイコーの気分でした。西群の二つの寺院をミトゥナ像を探しながらゆっくり回りましたが、エロティックというより大らかさが感じられました。

 インド史家の辛島昇氏によれば、「それまでヒンドゥー教や仏教に見られた現世否定の考え方によってではなく、積極的、動的な行為によって解脱を図ろうとするタントリズムの影響がある。具体的には女性の力としてのシャクティを崇拝し、男性原理と女性原理の結合を通じて宗教的至福を得ようとする考え方である。」ということになるのだそうです。

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 カジュラホの寺院群は、西群、東群、南群と3つに分かれています。西群は町の近くにあり拝観料が必要ですが、他の二つは無料。2~3キロ離れていますがこちらも見学しました。

 上の写真は途中の集落ですが、いろんなところで子どもたちからハローハローと笑顔で声を掛けられました。外国人が珍しくて声をかけている感じでした。


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 写真は西群寺院の隣にあって現在も礼拝されているマタンゲーシュワラ寺院。10世紀に建てられた寺院で、高さ2.5mのリンガ(シヴァ神のシンボル、男性器をモチーフにした彫像
)を祀っています。朝から大勢の人で賑わっていました。

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 中に入ってみると、大勢の人がリンガに水をかけたり、リンガに触れてひざまずいたりしています。リンガの下部にはヨー二という女性器をモチーフにした彫像があるのですが、そこに流れる水をすくってガラス瓶に入れている人もいます。みんな真剣で一心不乱にお祈りしています。この寺は他の寺と違ってまだ現役の、生きているお寺でした。このお寺にはミトゥナ像はもちろん、優美な彫刻もありませんが、今なお多くの人々で賑わっていて、もしかしたら一番幸せなお寺なのかもしれません。

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