JICA海外協力隊の世界日記

デリー下町生活

学校で生徒が歌う愛国歌

 私の勤務する学校では 、朝と昼の2回、生徒が歌う歌があります。朝8時45分頃にベルが鳴ると、生徒も先生も起立して不動の姿勢をとり、音楽に合わせて歌を歌うのです。朝歌うのは「ヴァンデー・マータラム」と「バーラト ハムコ ジャーンセ ピャラヘ」の2曲です。

 昼は12時半くらいにインド国歌の曲が流れ、もちろん全員が起立して歌います。私は、朝も昼も曲が流れるときはインド国旗に向かって気をつけの姿勢をしていましたが、昨年末くらいから歌うようにしています。生徒と一緒に歌うのはとても気分がいいからです。

 聞いているだけでは覚えられないので、歌詞を印刷してプリントを見ながら歌っています。「ヴァンデー・マータラム」は紙を見なくても歌えるようになりましたが、あとの2曲はまだまだです。

 今回は朝歌う2曲を紹介したいと思います。まず、「ヴァンデー・マータラム」について。この曲は「母よ。あなたを称えます」というような意味で、インドを母に見立てて称賛する歌です。インド国歌「ジャナ ガナ マナ」と同等に、人々に大切にされ歌われています。Vande Mataram (HD) - National Song Of india - Best Patriotic Song

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 調べてみると、1870年代に作られた詩にタゴールが曲を付けて議会で披露したのをきっかけに、政治活動家やフリーダム・ファイター(インド独立に命を懸けた人たち)の間で歌われ始めました。イギリスがこの曲を禁止したため、なおさらこの曲の価値があがったようです。

 フリーダム・ファイターたちが歌った歌です。愛国心が奮い立つのでしょう。インド映画を観ていても、大事な場面でこの曲が歌われます。でも、歌詞の内容は次のように意外とソフトなのです。

 「母よ、私はあなたを称えます!

  あなたの急流は豊かで、
  果樹園の輝きは明るく、
  あなたの喜びの風は涼しく、
  暗い野原は波打つ、力強い母よ、
  自由な母よ。」

 ただし、歌詞にはないですが、もともとこの詩の中にヒンドゥー教の女神を称える内容があることからイスラム教徒は歌唱義務化には反対しているようです。アッラーの神以外の信仰を禁じられているのだからそうなるのでしょう。

 
うちの学校の生徒たちはどうかと言うと、はっきり言ってあんまり歌わない子が多いです。先生もそんなに注意はしません。ただ、全校朝会のときだけはほとんどの生徒が大きな声で歌っています。

 さて、次は、「バーラト ハムコ ジャーンセ ピャラヘ」です。グーグル翻訳で訳した歌詞は次の通り。bharat humko jaan se pyara hai - Google 検索

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インドは我々にとって命よりも大切です
私たちの庭は最も美しい庭です
インドは何世紀にもわたって世界の誇りとなってきました
母なるインドを守るためには命をも犠牲にします

私たちの庭は壊されるべきではありません、私たちの国は壊されるべきではありません
誰も私を騙さないでください、誰も私を壊さないでください
ここにはヒンドゥー寺院、あちらにはモスク、ここにはヒンズー教徒、ここにはイスラム教徒
愛をもって出会い続けよう、目を覚まそう

私たちの名前はヒンドゥスターニーです。私たちの国は最も愛されている国です
ここは私たちの生まれ故郷です。誇りを持って言います
我々は兄弟として愛を持って生きていきます
私たちの名前はヒンドゥスターニーです

アッサムからグジャラート、ベンガルからマハラシュトラまで
カーストは多様だが国はひとつ、言語は多様だが国はひとつ
カシミールからマドラスまで、我々は皆一つだと言おう
声をあげて、私たちは一つ、目を覚まそう

 とても愛国的な内容になっています。私は、「ヒンドゥー教徒もイスラム教徒もいる、我々は皆一つだ」といった歌詞がとても気に入っています。インドにいるうちに覚えて、顔をあげて生徒と一緒に歌いたいと思います。

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